第2章 手がかりを探して

第15話 ギルドにて

洞窟から脱出し、ヴィーゼルの宿で休んだ翌日――


「ここがギルド…」


私たちは町のギルドに来ています。

魔王軍に関する情報が何かないか見に来たんです。


「あそこ。掲示板がある」


リュトさんが指差した先に、何枚もの紙がびっしり貼られたスペースがある。

その近くまで近づいてみる。


「ええと…」


私はたくさんある貼り紙1枚1枚に目を通す。


『就職希望者大歓迎!君もギルドで働こう!』

『冒険者求む!ガルラン洞窟のゴブリン退治 報酬有り』

『猫を探しています。見つけたらご連絡ください』


「そうそうあるわけないですよね…」


掲示板に貼ってあったのは、

仕事の求人や町民からの依頼書ばかり。

すると、


「あなたたち、この辺りじゃ見ない顔ね?」


後ろから声がした。

リュトさんと私が振り返ると、


「見たところ冒険者よね?ここにはクエストを受けに来たのかしら?」


立っていたのはメイド姿の女性。

頭から三角の耳二つ、

頬から生える6本のヒゲ、

スカートの下から伸びる尻尾。

――獣猫ミョーグル 族の女性だった。


獣猫ミョーグル 族、初めて見ました…」

「そうなの?じゃああなたから見てどうかしら?カワイイ?」

「え?え??」


彼女はポーズを取りながら聞いてくる。

突然のことに驚きましたが、


「か、カワイイと思います。ハイ…」

「そ~お~?やっぱりミュウミュウはぁ~、世界で一番カワイイ獣猫ミョーグルよね~~♡」


そこまでは言ってないんだけどな…

ミュウミュウと名乗ったメイドさん、なんか一人で勝手に盛り上がっています。


「ねえ、クエストってどんなのがあるの?」


リュトさんが切り込んだ。

自分の世界に悦になっていたミュウミュウさんは私たちを見て、


「クエストを受けるの?じゃあまず冒険者証を見せてちょうだい」


そう言ってミュウミュウさんは手のひらを出してきた。

冒険者証? 初めて聞く言葉です。


「ああそっか。まずギルドで登録しなきゃなんだった。面倒くさいなあ…」


渋い顔をするリュトさん。


ミュウミュウさんの説明によると、

まず冒険者は、ギルド登録申請書と呼ばれる用紙に必要事項を記入する。

それをギルドに提出し、審査が通ると冒険者証が発行される。

それでようやくギルドに寄せられてきた依頼――クエストを受けられるようになる。


「その審査ってどれくらいかかるんですか?」

「まあ、早くて5日はかかっちゃうわね」


「そんなにかかるんですか!?」

「ああでも大丈夫!ギルドはもちろん他の町にもあるわけだけど、

 冒険者証の発行はどこのギルドからでもOKだから!」


申請書の控えさえあれば、どこのギルドからでも発行してもらえるそう。

よかった。5日間この町から出られないかと思いました。


「じゃあ私たちは…… 一足先に次の町まで行っちゃいましょうか」

「次って…どこか行く宛てなんてあるの?」


私は沈黙する。確かに、どこ行くか考えてません。


「それだったら、ここから東にある≪王都アルフィード≫か、

 南にある≪遺跡都市シエンティア≫はどうかしら?」


二人の間に割って入って、ミュウミュウさんが提案する。


≪王都アルフィード≫はココの前に行った場所。

ということで、


「≪遺跡都市シエンティア≫!次の目的地はそこにしましょう、リュトさん!」

「うん…。まあいいんじゃない?」


リュトさんも一応了承してくれた。


「よし、じゃあ行きましょう!≪シエンティア≫に!!」

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