第7話 港町ヴィーゼル②

リュトさんが疲れたと言って宿に引きこもってしまったので、仕方なく町を散策することにした私。

さすが港町と言うだけあって、様々な店が並んでいます。武器屋・防具屋はもちろんのこと、洋服屋、魚売り場、精肉店、ジュエリー専門店など多彩。

町の人曰く、世界中の様々な物がここに集まってくるんだそう。


そうだ、せっかくだから食材を買って料理でも作ろうかな。これからの旅でも必要になるだろうし、リュトさんも――ずっと飲まず食わずでいられるわけないだろうし。


そんなことを考えながら歩いていると、


ドンッ!


「きゃ!」


前から来た人と肩がぶつかる。


「ご、ごめんなさい!ちょっと考え事してて…」

「あぁ!?人にぶつかっといてごめんなさいだけかぁ!!?」


ビクッと震えた。

恐る恐る顔を上げると、


悪そうな顔をした男の人3人が、私を鋭く睨み付けていた。


「ほ、本当にごめんなさい!あの私、急いでいるので…」


そういって早くここから立ち去ろうとしたそのとき、


「おいふざけんなてめぇ!そんな謝罪で俺が納得すると思ってんのか!?」


ローブを乱暴に掴まれ、路地裏にぐいと連れ込まれる。


「や、やめてください!こんなことして一体何に――」


ゴキッ!!


突然横っとびになる体。連れの一人に横からおもいっきりぶん殴られた。


「痛…ぃぃ、あぁぁ」


ずっと私にまくし立てていた男が近づき、髪をむんずと掴まれ、


「おまえみたいな生意気なガキは――躾をしてやらねえとなぁ…」


男はぐにゃりと歪んだ笑みを浮かべる。

連れの二人も私を冷やかすように笑っていた。

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