第6話 港町ヴィーゼル①

どうにか森を抜け、私たちは隣町に辿り着いた。


「いやー大変な森だったねえ。右から左からスライムがいっぱい出てくるんだもん。」

「リュトさんは一切戦ってないでしょ…」


あのあとも何度かスライムに遭遇し、全て私一人に丸投げされました。


動かない的、不意打ちで攻撃すれば当てることが出来ました。でもその一撃で倒しきることが出来ず、結局返り討ち。

炎弾フレア】だけでなく、氷魔法【氷撃クリスト】も試してみました。が、結果は同じでした。


「で、ここはなんて街だっけ」

「えーと、≪港町ヴィーゼル≫だそうです」


町の入り口の看板に書かれてありました。

王都ほどではないですが、人々が賑わっており、店も色々ありました。

奥に目を向けると、あれは商船でしょうか。立派な船が停泊しています。


「今日はこの町で一泊することにしましょう」

「まあ、うん、それでいいよ」


リュトさんが同意する。

こういった判断まで私に丸投げなんですね。

そうと決まれば、まずは今日泊まる宿を探さなければいけません。

安いところがあればいいんですが…



町を数分彷徨って、なんとか空いている宿を見つけることが出来、2人別々で部屋をとりました。さすがに男性と一緒の部屋っていうのはまだ抵抗が…

それはさておき、一度リュトさんの部屋へ、このあとどうするか相談に行きました。

するとリュトさんは、


「今日はもう自由でいいんじゃない。疲れたし」


ベッドに寝転んだまま答えるリュトさん。

……あなた、今日疲れるようなことありましたっけ?


呆れた私は、仕方なく港町の店を見て回ることにしました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る