第4話 初めての戦闘①

ようやく武器屋で買い物を済ませた私たちは、防具屋・アイテム屋にも寄ったあと、王都を離れた。

今は隣町に向かうため、森の中を歩いている。


「……結局杖は買わなかったんだ」

「はい…」


リュトさんの問いに答える私。

あのあと悩んだ末、自分の杖は買わずに剣だけを買って武器屋を出ました。


「やっぱりわたしにはこれが一番かなって」


懐からあるものを取り出す。

それは子供の頃、≪マティーナ村≫の森の木から自作した馴染みの杖。


「ミレイユさんに憧れるようになってから、ずっとこのと一緒だったんです。だからこれからも一緒に頑張っていこうって思って」

「ふーん」


あまり興味なさそうな反応から一拍置いて、


「ところでミレイユって誰?」

「ミレイユさんを知らないんですか!?」


思わずリュトさんにずいっと近づく。


「ミレイユさんといったら100年前勇者マルクと共に魔王討伐に向かったあのミレイユさんしかいないじゃないですか!

あの人は王都から旅立った初期のメンバーで!

5属性もの強力な魔術を使いこなし!

マルクさんからも最も信頼されていた!

魔術師なら誰もが憧れる英雄じゃないですか!!」

「分かった、分かった。とにかく落ち着いて」


我に返った私は、とっさにリュトさんから離れた。

自分では分からないけど、今顔を真っ赤にしているに違いない。


「ご、ごめんなさい。ミレイユさんのことになるとつい…」


自分の髪をいじりながら、俯きがちにつぶやく。

そこに、


キュルルウウウウウウ!


突然の鳴き声。

その方を見ると、スライムがこっちを見て威嚇している。


「リュトさん!魔物です!」


私は杖を構えてスライムを見据える。

一方リュトさんは――


「うん、じゃ、ここは任せる」



……


………え?

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