第3話 旅の始まり

「はぁ…」


≪アルフィード城≫をあとにしてすぐため息をつく私。

その後ろをリュトさんが付いてくる。

……立ち位置逆じゃないんですか、こういうときって。


「で、これからどうしよっか?」


歩きながらリュトさんが聞いてきた。


「……ひとまず旅に必要な道具とか武器とか揃えて、ってところですかね」


あのあと王家から、旅の費用としてそれなりの額のお金を渡してくれた。

家から持ってきた300ゴールドだけでは心許なかったので、これには本当に助かりました。

ちなみにお金の管理は私が全部やることにしました。

リュトさんに任せたら取り返しのつかないことになると思ったので…


とりあえずそこの武器屋に入ってみよう。


カラン、カラン


「いらっしゃい!剣でも槍でもなんでも揃ってるよ!」


威勢のいい声が店内に響き渡る。

それにちょっと驚きながらも、ガタイのいいその店員さんに尋ねた。


「ええと、杖を見てみたいんですけどありますか?

 あとリュトさんの武器…って剣でよかったですかね?」


私は振り返ったが、

リュトさんがいない。


あれ?と思い、店を出ると、


「ん?もう買い物終わったの?」

「…なんで外にいるんですか?」

「君の買い物待ち」

「リュトさんの武器も買うものに含まれてるんです!」


彼の腕を引っ張って店に入り直し、買う武器を選ぶよう言った。




「あ、この杖カワイイ…」


そのあとの私は棚に掛けられていた杖を1本1本見定めていた。


「あ、こっちは空気中の魔力をかき集めてくれるんだ。それにこっちは持つところが私の手にピッタリフィットして、それにこっちは…」


「コレにする」


杖で悩んでいる私に、リュトさんは一振りの剣を渡してきた。

派手な装飾もなく、かといって地味すぎるというほどでもない。

キースさんと一緒に来ていた兵士さんが身につけていたような剣だった。


「本当にコレでいいんですか?」

「剣なんて振れれば大体一緒」


なんてことを言ってそそくさと店を出て行ってしまった。


「……ホントに私待ちになっちゃった」


改めて、どの杖を買うのかで苦悩する私なのでした。

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