第2話 二人の邂逅②

「この度は王都まで足を運んで頂き、ありがとうございます。

 私はソフィ=アークライト。まだ王位継承権を持つ歳ではありませんが、今は特例 でこの王都を治めております」


玉座から降りたソフィ様が、ドレスの裾を掴み挨拶した。


「フェルム=ノーツ、リュト=カーディス、貴方達には復活した魔王を討伐し、混乱する世界に平和を取り戻して頂きたい」


――リュト=カーディス、私の隣に並んでいる彼の名前みたいです。

銀色の髪、細い目の奥に見えるオレンジの瞳、歳は…この人も私と同じくらい、なのかな?


「世界の命運を、お二人に託してもよろしいですね?」


ソフィ様は改めて問いかける。そんなの、もちろん答えは――


「めんどいからヤダ」



……


………え?


その場の空気が凍った。

私は声の主――リュトさんに向き直る。


え、あれ、聞き間違いですよね?何かの間違いですよね?

そうだよ、そうに決まってる!

わざわざ勇者選抜の為の試練まで受けて、

こうして王と謁見している今この場で!

めんどいからヤダ、なんて言うはずが、


「コホン、

 面倒なのでやりたくないです」


言ったーーー!!

さっきより丁寧な口調で言い直したーーー!!


「リュト=カーディス、もうあなたしか託せる方がいないのですよ。他の候補者は全員、最初の試練であなたに吹っ飛ばされてしまったのですから」

「あれでも手加減したつもりだったんだけど、

 まさか全滅するなんて思わなくって」


今さらっととんでもないこと聞いた気がするんですけど!?


「はあ…とにかく、あなたがなんと言おうと魔王討伐に向かって頂きます」

「えぇぇ…」


さすがの姫様もため息を出さずにいられなかったみたい…

え?私こんな問題だらけな人と旅をしなきゃいけないんですか?


「そういうわけで、フェルム=ノーツ。苦労をかけるかもしれませんが、どうか頼みますね」

「は、はい」


私、本当にやっていけるのかな?

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