ラカム達からルシファーの情報を聞く

「ううっ……俺は一体」


「わ、私は……何を」


「お、俺は……そうだ。俺は農民なんだ。鍬を振るい、汗水を流し、畑を耕すのが仕事」


「ぼ、僕は……聡明な大僧侶ではなく……ただの穀潰しの無職です」


「目を覚ましたようだな。やはりルシファーの授けた力は悪魔の力だ。悪魔払い(エクソシスト)の力で退ける事ができた」


 地面に倒れたラカム達が目を覚ます。


「ひ、ひいっ! て、てめぇはトール! や、やめろ! 殺すな! 殺さないでくれ!」


「誰が殺すか……」


 俺はラカム達の態度に溜息を吐いた。


「な、なにするつもりなのよ! トール! どうせ私にいやらしい事するつもりなんでしょ! 大魔法が使えなくなっても、私にはこの魅惑的なバディがあるんだから!」


 メアリーはそう言ってきた。


「馬鹿か……誰がそんな事を。お前達を助けたのは、死なれると後味が悪くなるからっていうのもあるが、お前達に力を授けたルシファーについて聞きたかったんだ」


「ルシファー? ……ああ、あの時のあいつか」


「ええ。すごい美少年でしたよ。まるで作り物のような。確かに人間ではないような、不思議な雰囲気を彼は持っていました」


「そうか。そいつが魔王軍の四天王のうちの一人なんだな」


「は、はい。そう名乗っていましたから、間違いないと思います」


 グランはそう説明する。


「そいつから命令されたんだろ? 俺を襲えって」


「は、はい! その通りです!」


「どこにいるかわかるか?」


「わ、わかりません……」


「そうか。ならいい……」


 俺は尋問を諦める。


「行くか、エミリア、セフィリス。とりあえずはアレクサンドリアの冒険者ギルドに行こう。イフリートを倒した報告をしなければならない。もしかしたらそこで魔王軍の情報を聞き出せるかもしれない」


「トールはそのルシファーって魔王軍の四天王を倒すつもりなの?」


「身に掛かる火の粉は払う。それだけの事だ。俺は勇者気取りで魔王を倒すつもりはなかったんだが、相手が俺の事を警戒し、手を出してくるなら叩き潰すより他にない」


「そう……」


「まあ、それも相手が見つかったらの話だ。わざわざそいつを探し回るつもりもない。ただもし直接会う機会があったら、ただではおかない」


 俺達はアレクサンドリアの冒険者ギルドへ向かう。


「待てよ! お、俺達をどうするつもりなんだよ!」


 ラカムが俺達を呼び止めた。


「別にどうもしない」


「お、俺達はこれからどうすればいいんだ?」


「それは自分で考えろ」


 俺はラカム達に告げる。


 そして俺達はその場を去っていったのであった。



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