仮初の勇者パーティーとの闘い下
俺は職業を自己貸与(セルフ・レンド)をする。
「トールは今度は何の職業になったの?」
エミリアが聞いてくる。俺は司祭のような恰好になっていた。
「これは悪魔払い(エクソシスト)の職業だ」
「「悪魔払い(エクソシスト)!?」」
「ああ。この職業であいつ等に巣くっている魔族の力を祓う。だが、その力を使えるようになるまで、それなりに時間がかかるんだ。だから二人で何とか時間を稼いでくれ」
「わかったわ。二人でトールを守る」
「はい。私もトールさんのお役に立ちたいです」
「頼んだぞ。エミリア、セフィリス」
俺は悪魔祓いの呪文を唱え始める。
「へっ! 何悪だくみしてるんだ! てめぇら! 真勇者アタアアアアアアアアアアアアアアアアアアク!」
ラカムが斬りかかってくる。
「ホーリウォール!」
エミリアが聖なる壁でラカムの攻撃を阻む。
「何をやっている! ラカム! この聖騎士ルードの聖なる一撃を受けよ! ホーリーストラッシュ!」
ラカムは聖剣エクスカリバーによる一撃を見舞った。パリィン! エミリアのホーリウォールが砕かれる。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああ!」
エミリアが悲鳴をあげた。
「ぷぷぷっ! 私の大魔法で一撃! 一撃なんだから! ライトニング――」
「させません!」
「きゃあ!」
セフィリスは矢を放った。メアリーは魔導士系の職業に就いている。こういう職業は大抵の場合魔法攻撃、魔法防御には秀でているが物理攻撃及び物理防御に劣っている。
その為矢のようなダメージの低い攻撃手段でもそれなりに痛手となるのだ。
「メアリー!」
「い、痛いじゃない! グラン! 出番よ! あんたの回復魔法で私を回復させて!」
「わかってますよ! ようやく大僧侶である僕の回復魔法の出番ってわけですね!
!」
グランは張り切っていた。
「ヒーリング!」
グランは回復魔法で怪我をしたメアリーを回復させる。
「ありがとう! グラン!」
「へへっ! どういたしまして! 回復なら大僧侶である僕にまかせてください!」
グランは胸を張った。
「よし! 二人とも! 離れてくれ準備が整った! 時間稼ぎは十分だ!」
「わかったわ! トール!」
「わかりました! トールさん!」
「ん? ……なんだ? 何をするつもりなんだ?」
「ぷふふっ。何してくるつもりか知らないけど、私達に聞くわけないじゃない。だって、私達は最強の勇者パーティーなんだから」
「全くだ。まるで効く気がしない」
「無駄な足掻きというやつですね」
「食らえ! ラカム達! お前達に巣食っている悪魔の力を追い出してやる! エクソシズム!」
俺は悪魔祓い(エクソシスト)の力を発動させた。
「「「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!」」」
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「な、何なのよ。あんなに大見栄切っといて、思いっきり聞いてるじゃないの」
エミリアは呆れていた。
「ば、バカな……」
「う、嘘……」
「こ、こんな事が」
「な、なぜですか、僕たちがこんなことに」
パタ、パタ、パタ、パタ。
四人は倒れた。
こうしてラカム達との闘いは終わったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます