【ラカムSIDE】真の力に目覚めない事を疑問に思う

ラカム達はエルフ国の近くにいた。


「自分達のミスは自分達で取り返すんだ! お前らっ! 勇者パーティーの真の実力を見せつけてやろうぜっ!」


 ラカム達は目覚めさせた邪神を倒す為にエルフ国に向かったのである。あれほどの実力差を見せつけられ、命を拾ったというのに懲りない連中であった。


「そうだ! 今が俺達の真なる力が目覚める瞬間だ!! 勇者としての力に!」


「そうよ! 私の大魔法が目覚める時!」


「そう! 俺の聖騎士としての究極剣が目覚める時だ!」


「そうです! 僕の回復魔法が復活する時です!」


 四人は自分達が当たり職業に就いていると確信してならなかった。思い込みとは怖いものだ。


「いくぜええええええええええええええええええええええ!!」


 エルフ国の近くには神殿から発生したモンスターがいた。魔物のようなモンスターである。


「くらえええええええええええええええええええ!!! 勇者アターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーク!」


 キィン!


 しかし攻撃はまるで通用しなかった。そして吹き飛ばされる。


「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 ラカムは無様にゴロゴロと転がって地面に寝転がった。


「ラ、ラカム!」


「くそっ!」


 ラカムは地面を拳で叩いた。


「どういう事なんだよ! ど、どうしたんだ! どうして真なる力にめざめねぇ! 俺は勇者なんだぞ! そして俺達は最強の勇者パーティーだってのに!!」


「ほ、本当ね。スランプにしても長過ぎよ」


「一体、どうしたんでしょうか。僕達」


「一体なぜ、聖剣の切れ味が悪くなったんだ」


 四人は訝しんだ。なぜか四人は追い出したトールの影響だという考えには至らないようだ。


「くそっ! 撤退だ! 四人で会議をするぞ!」


 四人は戦線を離脱し、会議を始める事にした。


 ◇


「なぁ、どういう事だと思う? なぜ俺達は調子を取り戻せていない」


「あっ! わかっちゃったわ! 私!」


 メアリーが手をあげる。


「なんだ!? メアリー!」


「私達の力を脅威に思った魔王軍が、力を封じる呪いの魔法を、こっそりと知らないうちにかけてきたのよ! それで力が発揮できなくなったのよ!」


「それだな! それあるなっ!」


「ええっ! それかもしれませんっ!」


「その呪いが解ければ、俺の聖騎士としての剣技も! 聖剣の切れ味も元に戻るんだなっ!」


「僕知ってますよ! 王国に呪いに詳しい、呪術師の館があるんです! そこで見てもらえばきっと一発で呪いを解いてくれますよ!」


「ああ! そうだなっ! その通りだ! そこへ向かおうぜ!」


 勇者(だと自分で思っている)パーティーは都合よく物事を考え、呪術師の館へと向かった。





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