第24話
私達の入場の時間になり、会場の扉が開く。
全員が驚いた顔をしているのはおそらく私達が入る前に大きく言われた名乗りのせいだ。
「レイディアント王国、ウィリアム・サンライト第一王子。及び婚約者ソフィア・オズワルデスタ公爵令嬢のご入場でございます!」
と言われたのだ。
婚約者として発表する旨は既に伝えてあった為、私達が驚く事はありませんが他の貴族や他国の王族からすれば吃驚してしまうのも無理ありません。
「やっぱり驚かれましたね」
「そうだな。しかし俺としては気分が良い。美しいソフィを婚約者として堂々と連れて歩けるのだからな」
優しく微笑みかけてくるウィル様に胸が熱くなります。
最近、彼を見るとこうなる事が増えた気がするのは何故なのでしょうか。
「ソフィ?」
「あ、いえ…。なんでもありません」
ぼんやりしていた事に気がついたウィル様にじっと顔を見られますが笑って誤魔化す。
会場の中心まで辿り着くと先に入場していた家族と合流する。
「皆さんの視線が痛いです」
母に本音を漏らせば楽しそうに笑われた。
「良いじゃない。悪く見られているわけじゃないのだから」
「そういう問題じゃないのですけど」
「ソフィは私の婚約者として見られるのが嫌なのか?」
肩を抱き寄せてくるウィル様に尋ねられて首を横に振る。
決して嫌なわけじゃないのです。ただ久しぶりに注目を浴びたせいで違和感があるだけです。
「ウィリアム殿下は楽しそうだな」
「最高に気分が良いので」
私以外の全員が楽しそうに笑う。
周囲から向けられた視線が一斉に逸らされたのは国王陛下と王妃様の入場が開始されたからである。
今回のパーティーの主役であるアーサー殿下とストーン伯爵令嬢は陛下の言葉があってから入場する事になっていると先程聞かされた。
「我が息子アーサーの婚約披露の為、集まってくれた事感謝する」
壇上まで上がった陛下の声が響いた。
「これより入場する我が息子アーサーと婚約者デイジー・ストーン伯爵令嬢、両者を盛大な拍手で迎えてあげてほしい」
いよいよ入場ですが大丈夫なのでしょうか?
不安になりながら会場の入り口を見る。
「アーサー・ハワード第一王子殿下。及び婚約者デイジー・ストーン伯爵令嬢のご入場でございます!」
大きな声が響き、重い扉が開かれる。
数ヶ月ぶりに見る元婚約者の姿。
隣にはストーン伯爵令嬢がおり、二人とも笑顔です。
笑顔なのに不気味に感じるのは二人の置かれている状況を知っているせいでしょうか。
二人が中央まで辿り着いた時、事件は起こった。アーサーがストーン伯爵令嬢を突き飛ばしたのです。
そして…。
「デイジー・ストーン!君との婚約を破棄させてもらう!」
頭が痛くなりそうな展開ですわ。
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