第34話 Lock On
目標の動く先を、feedforwardで予測し、その座標軸を計算する。
そして、ロック。
トリガーを引くのは、意思。
コンピューターに、最適なタイミングで発射する設定。
数秒の沈黙。
spark!!!!!!!
光速を越えた粒子が、時空間を越えて
独裁者の神経内分泌細胞の活性を刺激する。
医学的根拠があるので、特に危険はない。
ただ、攻撃的な気分が長続きしないように
闘争ホルモン、バソプレシンの代謝を早め
協調ホルモン、オキシトシンの分泌促進、分解・再吸収阻害を計るだけだ。
コンピューターは、命中を報告した。
モニターを見ると
特に変わった様子は見られずに
独裁者は、迎えの車に乗り込んだ。
独裁者の国のラジオを
なんとなく聞いてみると
あの、マツコDXみたいなアナウンサー(笑)が
威張って話していた。
西側の侵略に備え、東側が正義の戦いの為に...
とか言っている。
「向こうから見ると、こちらは悪魔なんだね」と
フェルディナンドは言う。
見方はいろいろだけれども
それはどちらもこじつけのようなもの。
人と人が争ったりする理由に正しいものなんかないとわたしは思う。
男はいい、勝手に戦争しても。
でも、自分はお母さんが産んでくれて育ててくれたって
忘れてるんじゃないかと思う。
争って怪我したり死んだりしたら、きっと悲しむでしょう?
そう言ってあげたかった。
戦争なんかして、喜ぶのは戦場に出ないあなたたちだけよ。
わたしは、憤りを感じる。
前線に行く兵士は、本当は嫌に決まってるじゃない。
勝手に戦いを挑むなら、自分で戦場に行けばいいんだわ、安全な所で会議してるだけなんて。
何が正義よ。
その3日後、独裁者は共和国の宮殿に到着し、議会が開かれたらしい。
内容はわからない。でも、とりあえず共和国の国営ラジオでは目立った話題は無かった。
西側の侵略、と
東側が考えてるなら
それを止めれば。
大統領の話では、軍部が原子力平和利用のふりをして核物質を溜め込もうとしている、のだから
軍部を抑制すればいい。そう考えて、軍の司令官、どこかの飛行機メーカーやニューヨークの公園みたいな名前の人を、狙撃(笑)した。
もちろん、あのレーザーで。
見た目、何も変わらないけれど
厳しい表情をみせる事は少なくなった。
そして、どういう訳だか
原子力平和利用、と言う話題は
メディアに昇らなくなった。
電力が不足するような時代ではないので
それで間に合う。
元々、国策で
そうしていたのだから。
「これで、上手く行くのかな」
Ferdinandは、やや疑念を持って様子を伺っていた。
すると。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます