第31話 愛の記憶
愛を思い出して。
そう考えたわたしは、とりあえず独裁者で有名な
ある人物の周辺をリサーチした。
すでにセキュリティカメラもあり、その映像を転送して
機会を伺った。
本人を発見したら、座標を確認し、レーザーを発射。
そうすれば、彼の意識に
一時的に過去の記憶、生まれたばかりの頃や、初めて愛された頃の記憶が
次元を越えて蘇るはず。
記憶は、4次元。
ただ、思い出せないだけなのだ。
という、フェルディナンドの説なんだけど。
(笑)
とりあえず実験。
機会を伺って.....
数日待った。
当人は現れず、独裁者の息子、どこでもそうだけど
親の七光り、アホっぽい彼が現れたので、試しに撃ってみた。
spark!!!!!!!
当たったようだ。
衝撃に驚いたようだが、別にどう、と言う変化も見えないようだ。
「おかしいな」フェルディナントがつぶやく。
モニター映像をわたしは凝視。
何か、怒ってるみたい。
錯乱して、側近を罵倒してる。
どういうこと....?
音声を上げてみると。
母親をスラングで罵倒しているように聞こえる。
よくわからないけど。
「そうか.....彼は生まれてすぐ母親が亡くなったんだった。」フェルディナンドは、歴史をコンピューターで調べて。
生まれてからずっと、愛されてないと思い込んでいるのね....?
ちょっと不憫に思うけど、そういう彼に思い出す愛はない、と自身で思い込んでいる。
それで自棄で侵略するの?
病巣、心のそれは
意外に幼稚なものなのね。
フェルディナンドは、少し考えてから
例の神経回路改造システムを、レーザーガンにつないだ。
強制的に、彼の記憶をリセットしてしまおうと言う考えらしい。
古い精神医学療法にも
似た方法はある。
麻酔で睡眠させ、無意識の記憶を引き出し、そこに新しい意識を与える、と言う方法。
映画「時計じかけのオレンジ」で粗暴犯の矯正に使われたり。
カルト宗教の洗脳にも使われたような、ひとつ間違えると危険な方法。
でも、レーザーなら。
フェルディナンドは、そう考えた。
Bang!!!!!!
また、ショックを受けて
二代目の独裁者は、おもちゃみたいに倒れた(笑)。
本人もどうして倒れたかわからない様子で、でも
側近が、手を差し延べると
ありがとう、などと
礼を柔和に述べるので
側近が気味悪そうにしている。
その様子がおかしかった。
「効果はあるようだな」フェルディナンドは会心の笑み。
それで、二代目の精神改造は出来た....けど。
問題の原子力計画の方は
まだまだ問題が多い。
この国だけではないし、どこかの国にもし、核武装を企む人が現れたら。
その都度、狙撃(笑)する訳にもいかない。
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