第28話 hai,Jack!


わたしは、その後

電話局のラインを傍聴して

大統領へのホットラインの番号を調べた。


昔の電話なので、ダイヤルを回す時の音を数えれば

番号が解る、と彼に教わった。


コンピューターで、番号が表示される。



そのナンバーに掛ければ、直接最高司令官に働き掛けられると思い


何日も調べ続けた。



軍の無線を聞きながら、非常事態が起こりそうな時、電話番号を傍受した。




そのうち。



異様な番号がコンピューターに表示され、


スピーカーから。



---hai,Jack。



聞き慣れた声がした。



大統領。



緊迫した空気の中、大統領は楽しそうにのんびり語っている。


On-lineになっている回線の番号をチェック。



ーーーーあった。



それは、専用回線だった。


でも、英語よくわかんなーい(笑)。



どうやって話そう、ねぇ、フェリー?




彼は冷静に、笑いながら。


自動変換ソフトウェアを使えばいいさ、と言った。





あ、そっか(笑)。そのラインが途切れる瞬間に、わたしは、大統領、と話し掛けた。



大統領は、一瞬たじろぎ


「誰だ」と。


軍の司令官らしき人は

聞いていない。


ノイズでそうと解る。


周りの音、さっきは聞こえたペンタゴンらしい

騒々しい音が聞こえていない。



ホワイトハウスの静粛な背景音だけが聞こえる。



わたしは、、少し早口で話した。

話して解るとも思わなかったけれど。




返答は、意外だった。



「誰かは知らないが、原発は国の意思ではない。軍備しないと日本が危ない」



危ない?と

わたしは、咄嗟に聞き返した。




「そうだ。我が国の軍の意思でもない。極東の敵国は原子炉で爆弾の原料を製造し続けている。我々も持たなければやがて、襲われる」




わたしは、絶句した。

それでは、国交のない国の軍部の意思を変えなくちゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る