第27話 mad scientist?


「じゃあ、わたしはどうしよう」



と、彼に尋ねる。


「その、原子力を推進している人達の居る場所を、正確に探しだして貰って。

時間軸と共にね。

そこに向かって、レーザーガンを発射すればいいのさ」



事もなげに彼は言うけれど

人の心を変えてしまう、なんて

すこし怖いような気もする。


「副作用はないの?」

と、わたし(笑)。



フェルディナンドは、冷静に「歴史が変わってしまう、と言う事だね。どうなるかは解らない。数多くの人の運命が変わる事になるだろう。誰も知らないうちに、って事だけど」


わたしは、いろいろ考えた。

けど、わからなかった。


ひとつだけ、たしかな事。

それは、またフェルディナンドに会えた、こと。

それだけで、しあわせ。


放射能だって、原発だって怖くない。

爆弾だって、なんでもこーい(笑)



その彼が、思うことだったら

きっと、それはいい事。


ううん、世界中が敵だって

わたしだけは、彼のみかただもん(笑)。



....テロリストの恋人って、こんなのかしら(笑)。


そう、今は世界が原子力を怖がっているけど

50年前は、そうじゃなかったかもしれない。



協力を頼むのも難しいかも。


考えてもしょうがないので(笑)

わたしは、通信相手を探した。



....ひとつだけ、心配な事は

それで歴史を変えたら、もう

彼、フェルディナンドには


今度こそ会えないだろう、って事。



でも。


やるしかない!





怪しまれないように、わたしは

ラジオ局を装って、過去に語りかけ始めた。


電波だったら、見つかりにくいだろうと思って。


ちょうど、50年前だと

テレビよりラジオの方が

みんな聞いてるかな、と思って。



架空のラジオ局から、もちろん音楽に乗せて。


どんな曲がいいかわかんないから、適当にロックやジャズを流したら、話題になったみたい。


他のラジオ局、もちろんその頃の、電波を聞いていたらば


わたしが流していた電波の事を話題にしていたので。


そこで、原子力発電所の事を話した。


万一、停められなくなったら猛毒が撒き散らされ、子供達は癌死に至る可能性が高い事、燃える燃料は僅か3%くらいで、残りは原子爆弾の原料になる事。

だから、戦争好きな政治家がそれを集めたがっている事。


そうすると、反響があった。


軍が、電波の発信源を探している、と言っていた。



過去の映像を見ると、確かに軍隊が


山の上に昇って、ラジオ局の位置を探っているようだった。



もちろん、電波は過去に流れているけれど

ただの波なので。光の速さを越えて送れば

過去に届く。なので

過去の、何もない所から出ているだけ、なんだけど(笑)。

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