第26話 future shock

「そんな事出来るの?」



と、わたし、は驚いた。




フェルディナンドは、冷静に告げる。



「意識というのは一見、自由なようでいて、そうでもないんだ。感情的になりやすかったり、利己的になりやすい人を理性的にしたり、親和的にするのは薬学でも出来る。そして、知的な状態な人なら、善悪を弁別できるだろうと思う。」

イメージそのものは4次元を越えているから、転送する事は難しくない。」


ただ、その為には

過去の人達に協力してもらって

どこの誰に転送するかを調べて貰わないといけない、と

当然のように彼は告げる。



それが一番難しいの。

心の中でわたし、モノローグ。


彼の研究所にある、古いテレビのようなスクリーンで

その、過去の映像を見せてもらったら


ぼんやりとした、古い映画みたいな映像と、音が。


でもフィルムじゃなくて、今、過去で起きている事をカメラで捉えているものを送って来ている、って。



「コンピュータが出来てからのものは、これでね、見る事は出来るんだ」


セキュリティ会社のカメラとか、そういうものは

ネットワークを使ってるから、とか。



もっと古くなると、テレビ局の取材映像なんかを見る事は出来るとか。



すごいなぁ、と思った。



「それで、過去の人達に頼むのさ」



彼はそういう。



わたしに、そうしたみたいに(笑)。




今度は、わたしも一緒に。




遠い祖先が、どんな人達なのかは知らない。でも

原子力を発電に使おうとしたのは、実は軍事転用の為だったと言う事を

彼から教わった。


「いつか、戦争が起きた時に爆弾の原料にしようとしたのさ」



なんて事。その為に、みんなを騙してたって事!



わたしは、かなり怒った。(笑)。



「爆弾原料に都合よいものを燃やしたのさ。それは、燃料として3%くらいしか燃えず、残りが爆弾原料になるんだ」



彼の言葉に、ますます腹がたった。



「でも、そういうものを持っている、と脅さないとダメな国もあるのさ。愚かしい事だ。でも、僕らは、そういう人達の悪い所を、異次元に飛ばして消滅させればいいのさ」「異次元って?」


わたしは、素朴に。



彼は、整然と。「例えば、0次元に飛ばせば、そういう考えそのものが存在できなくなる。点座標しかない空間だからね。つまり、ばらばらにちぎれてしまうのさ。そういう考え方は」



なるほど。なんだかよくわからないけれど

すごい事が起こるらしい事だけ、わかる(笑)。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る