第9話 no more


「そんなことできないよ」やっぱり、とんでもない事に

巻き込まれてしまった。


だから男ってイヤなんだ。争いで解決しようとする。

でも、これを持ってると便利かな、なんて言うふうにも思う

わたしがちょっと怖くもあった。


牙のある動物は殺し合いをしない、と言う

動物行動学の本の一節をふと、わたしは思う。


それと同じで、何かを争いで解決すれば

禍痕が残る。そう思う。



そういえば。


わたしは思い出した。


ワーゲンちゃんが家に来た事は記憶しているけど

どこかで買った、とか貰った、とか

そういう記憶が欠落している。


まさか...


こんなに楽しいリゾートなのに。

青空だって、綺麗なのに。




「ねえ、フェルディナント」恐る恐る、尋ねてみる。



あなたは、もしかすると.....


カーグラフィックテレビで見た事がある、あの人。



「僕?僕はフェルディナントさ。そう。ポルシェの末裔。」



やっぱりそうだったの。


ポルシェを作った博士、フェルディナント・ポルシェ。

息子がフェリー、だけれども

その後は自動車会社には無関係で、科学関係の

仕事をしている、とか....

その末裔に、偉大な祖先と同じ名前が附けられる、というのも。

よくあること。


「偶然じゃないさ。君のところへ来たのも。

未来から時空を越えて通信してるんだ。」


フェルディナントは、冷静に言うけど

その行動を考えると怖い。



「じゃあ、未来は明るいの」イヤな予感を抑えつつ。



フェルディナントは、やっぱり冷静な声で。




「君の活躍で、未来は明るくなるはずだ」



咄嗟に、わたしはラジオのスイッチを切った。


そうすれば、いつものわたしに戻れるはず。


ワーゲンちゃんはふつうのワーゲンで、懐中電灯は

ただの、100円ショップで売ってる懐中電灯(笑)。


試してみた。



そのとおりになった。



ひょっとして、真夏の昼の夢....だったのかしら、と

思う。



なら、怖い夢...(笑)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る