第2話
ゴブリンの巣を潰してから数時間後。僕は能力の練習をしていた。トゲを三本伸ばす。トゲをくねくね動かす。慣れてきたのでトゲを一本増やして動かす。
「少し難しいなぁ」
トゲを四本にすると動きが単調になるな。しばらく四本での練習をしよう。次は剣をだす。少し大きい剣を数本地面に刺す。持っている剣で刺した剣を思いっきり斬りつける。ガンッと鈍い音がなり、持っていた剣が中程から折れてしまった。刺した方の剣には傷ができていた。だが、折れてはいない。強度が足りないなぁ。剣を生み出す時にもっと多くの塩を使ってより密度の高い結晶を生み出す。さっきまでと対して見た目は変わっていない。地面に刺している剣にいま生み出した剣で斬りつける。音を立てて地面に刺している剣がバキバキに砕ける。
「強度はあるけどこれじゃ剣じゃなくて棍棒みたいだなぁ」
剣が棍棒のように切れ味のない鈍器になってしまった。剣をよく見ると刃が潰れていた。剣の刃を鋭くしていく。
「こんなものかな」
見た感じ結構鋭くなったと思う。これで多分いけるだろう。刺さっている剣に向かって勢いよく斬りつける。刺した剣が中程から折れる。さっきよりはマシだけどまだ結構砕けている。
「これは剣じゃなくて僕自身の技術の問題かな。」
能力の練習はこんなもんかな。あたりを見渡すと、すっかり日が暮れている。少し没頭し過ぎてしまった。明るくなってきたらまた移動しよう。
周りがだんだんと明るくなってきている。そろそろ移動しよう。そうして僕はゴブリンの巣を後にした。ただひたすらに森の中を歩いて行く昨日からほとんど変わらない景色。進んでいるのかどうかもよくわからない。進んでいることを期待しながら森を歩いていく。すると木の隙間からひらけた場所が見えた。そこに行ってみると遺跡のようなものが佇んでいた。かなり昔の遺跡のようで、所々から植物が伸びている。さながら朽ちた遺跡といったところかな。入り口は扉が壊れていて開けっ放しになっている。
中に入ってみる。
天井の部分が崩れていて中に光が入ってきている。そのおかげで遺跡の中はそこそこ明るい。遺跡の中は特に入り組んでいるわけではなく、いくつか部屋があるだけだ。その部屋も、何もない空き部屋があるだけだった。遺跡を進んで行くとほかの部屋より少し大きい部屋があった。他に道が無いので、おそらく此処が遺跡の最深部だろう。部屋の扉を開けて中に入る。中は薄暗い。壁の所々がぼんやり光っている。そのおかげで少し視界が確保できている。部屋には、ベットや机、いろいろなモノが入っている棚など、人が住んでいた様な部屋だった。こんな森の中の遺跡に人?この人はこんな場所で何をしていたんだろう。棚から取った本を読んでみる。これは日記か?古いのか所々文字が掠れて読めないところがある。
○月○日
今日・・・ちの日だ、俺は・・・・といっしょに・・・・・・に行く。彼らはとて・・・・・から俺・・・・。
○月◾️日
・・・・るのはとても楽しい。少し・・・・・ても強く・・・・・。
○月・・
旅が・・・・・た・・・記が・・・・・しば・・かくこ・・・・・。
○月☆日
明日・・・・・ずい・・・がいこと・・・・った。今日は明・・・・・暇だ。
☆月◾️日
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
此処から日記は文字が掠れ過ぎていて読めない。これを読めると言って良いのか微妙だけどかろうじて読める単語から何処かへいく誰かの日記だろう。つまり何もわからないということだ。棚には他に、植物に関する本や、モンスターに関する本が置いてあった。日記はあの一冊だけだった。本以外にも、フラスコやビーカーなどの実験道具や綺麗な結晶が置いてあった。此処は誰かの実験室だった様だ。壁にくっついて光っていたのはヒカリゴケというコケらしい。光るコケだからヒカリゴケ。実に単純な名前だ。他にも世界には特殊な植物がたくさんあるみたいだ。大陸の中心に聳え立つ"世界樹ユグドラシル"。ひときわ巨大な神樹"生命の樹イルミンスール"。一度足を踏み入れると生きては帰れないと言われる殺人樹"死有の樹ミスティルテイン"この三本の木のことを三大樹という。そのまんまである。引き抜くと叫び、叫び声を聞いた人を死に至らしめる"マンドラゴラ"。羊の成る木"バロメッツ"。近ずくと鈴の音が鳴り、その音を聞いた者を狂わせる"鈴乱"。不老不死の源"黄金の林檎"
「…………」
ずいぶんと危険な植物が多いな。というか羊が成るってなんだ?まぁいいや。そろそろ移動しよう。入ってきた扉を開けて部屋を出る。
「マ…………ネ」
「ん?」
今何か声が聞こえた様な…。気のせいか。
忘れし過去の宿命を @Enki4040171
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