忘れし過去の宿命を
@Enki4040171
第1話
「お前達は良くやった。だが俺には届かない、邪魔をするなお前達に勝ち目はない、俺は◼️◼️◼️◼️
◼️◼️◼️……………」
波の音、が聞こえる。ゆっくりと身体を起こす。
「此処は…」
つぶやいた独り言に答える人は居ない、此処には僕一人だ。此処は何処だろう。周りを確認する。青い空、白い砂浜、そして綺麗な水平線。つまり海岸である。なぜだ。分からない。自問自答してみるも答えは出ない。当然だ、僕には記憶がない。だが常識などは覚えている。いや、知ってると言った方が良いかな。とりあえずこれからどするか考えよう。
1、誰か来るのを待つ
2、とりあえず移動する
3、探索する
まず1はダメだな。人が来る保証は無い。2は保留だな、何も分からないうちに移動するのは危険だ。
探索するか。此処は入江か?左右は崖だ。それも結構な高さがある。そして後ろは森だ。他には特に何もない。なら森の方に行ってみよう。
森に入ってしばらく経つ。僕はどうやら方向音痴らしい。さっきの入江に戻れなくなってしまった。何かあると期待して森を進むとしよう。
変わらない景色というのは中々に虚しくなってくる。あれから何時間も森を進んでいる。さっきから僕の視界には木と草ばかり。そろそろ生き物の一つにでも会いたいものだ。
「キシャー!」
なんか出た。というかゴブリンである。生き物に会いたいとは言ってもモンスターには会いたくない。相手のゴブリンは手に棍棒を持っている。それに対して僕は丸腰だ。もしかしなくてもピンチである。
「ギシュャー!」
ゴブリンが棍棒を振りかぶり襲いかかってきた。まずい。咄嗟に腕で頭を守る。・・・・・何も起こらない?前を見るとゴブリンが串刺しにされている。俺の腕から出ている白いトゲによって。
「え?」
トゲ?なぜ?トゲ?混乱していると腕から生えたトゲが縮んだ。ゴブリンは人様に見せられない様なグロテスクな姿になっている。少し場所を移動しよう。
ゴブリンをミンチにした場所から少し移動した。さっきのトゲのことを調べよう。腕に力を入れてみる。何も起こらない。腕を振り回してみる。何も起こらない。さっきのトゲをイメージしてみる。腕からトゲが伸びた。縮むようにイメージする。トゲが縮む。どうやらトゲは僕のイメージ通りに伸び縮みするみたいだ。ならトゲ以外にもなるのだろうか。剣をイメージしてみる。白い剣が僕の手に現れた。これでまたゴブリンに襲われても大丈夫かな。とりあえずそこらの木で試し切りをしてみよう。近くにあった細めの木に向かって剣を振り抜いた。軽快な音を立てて剣が粉々になった。
「脆っ!」
まさか剣がこんなにも脆いとは。どうしてだろう。もう一度さっきの剣を出し、調べてみる。少し調べて見ると剣は細かい粒の様な物で出来ていた。それは塩だった。
「塩?僕の能力は塩を生み出し操ることなのか。」
通りで脆いわけだ。トゲはそれなりの量があったからゴブリン程度なら仕留めることができたが、もっと強いモンスターが現れたら、対処できなくなってしまう。どうにかしないと………。
練習の成果というか実験の成果というか生み出す塩の密度を変えることに成功した。そして密度を上げて生成した剣は水晶のようになっていた。生み出した塩の密度が高いので結晶化したみたいだ。そろそろ森の探索を再開しよう。今が何時くらいか分からないが、日が暮れる前に何処かへ行きたいな。
あれからしばらく森を探索していた。今僕の前にはゴブリンの巣がある此処までにはゴブリンが結構いた。いい感じに能力の使い方がわかってきた。この力は使い勝手がいい。身体の好きな場所から攻撃することができる。それに武器も作り出せる。身体から伸ばしたトゲは自由に動かすことができる。それはともかく今はゴブリンだ。巣にいるゴブリンは十二体これくらいならいけるか?
木の影から飛び出す。手からトゲを三本伸ばす。三本のトゲがそれぞれ一体ずつゴブリンを仕留める。僕は手に持った剣を振りかぶりゴブリンに斬りつける。ゴブリンの頭と身体がおさらばする。これで四体、後八体。伸ばしたトゲを操りもう三体仕留める。これで後五体。ゴブリンが僕を見て後ずさる。あ、逃げ出した。
「まて!」
ゴブリンを追いかける。トゲを操り三体仕留める。逃げるゴブリンの背後から斬りつける。後一体。剣を投げつけ仕留める。
「ふぅ、これで終わりかな。」
ゴブリンの巣は洞穴のようになっていた。今晩は此処で休むとしよう。
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