第百六十九話 一般人側第一陣


ダンマスからドーラに念話が来た。


「今ムータンからですが、もうすぐこちらの準備は整います。受け入れ側の用意をしてもらえますか?

こちらからは世帯単位で送りますので、一軒家か、世帯が入れる広い部屋の建物が必要です。

一度に少なくとも1000人、150世帯くらいでしょうか。多けりゃその3倍ほどが一度に行くと思ってください。


で、先行してそちらに行ったムータン人たちだけでは新しくそちらに行った者達を研修するのは難しいでしょう。

そこらも考えてくださいね!?


初期滞在場所は本国内でもダンジョン側の街でもいいと思います。ただ、最初は固まって居させるほうがいいでしょう。

半月ほど先を目安にお願いしますね!」


「わかった。持ち物はどのくらいになるのかな?」

「荷馬車一つくらいじゃないでしょうかね?小型トラックで行く者もいるかも」

「自動車はやめてほしいんスけど、、というか電気とガソリン使うものは遠慮してほしいかな、、」

「そうですね、破壊されても困りますしね。言っときます。」



それからその晩、夕食後にミーティングしてどうするかを皆で話し合った。

ドラゴニア側の街の端にくっつける形で150世帯分の家、

ダンジョン側の街の奥の空いているところに150世帯分の家を建てることにした。

そこの通り側に衛兵の為の建物を作った。上の階に20−30人が住める程度の3階建て。勿論一階は詰め所。


各家には厩があり納屋がある。

そこの街の中心に銭湯を作る。厨房班の子達がリーダーとなり、新住民を班員にする。

全住民が入れるくらいの食堂も作っておく。ここも厨房班が運営する。

できるだけ日常生活も研修に組み込みたいのだ。向こうとやり方が違う事は特に。


ついでだから食堂もデカイのを、王宮の南側の畑地をつぶして作っておく。3000人が一度に座れるように。

食事だけなら場所を分けてもいい。が、一度に話を聞かせる必要がある場合に使うから。

また、来た最初くらいは皆一緒にいるのが各自確認出来る感じのほうが安心できるだろう。


端が見えないほど大きくなってしまうが、画像投影を使って奥の人達に見せればいいだろう。

食後も滞在できるようにし、知人同士話ができる時間も持ったほうがいい。

皆が確実に念話ができるようになれば、もう大丈夫だろうけど。


念の為に、50世帯ほど入れる4階たての建物を防衛軍の広場(練兵場)の端に建てた。一階が厩と納屋だ。


研修は

働ける者達、

子どもたち、

働けない者達、

に分けることにした。基本自宅からの通勤。

家の場所に近い職場を選ぶことになる。


ーー


それから半月後。


「はーろー!いかがですか皆さん!」

朝食の時に久しぶりにダンマスが現れた。

まずは朝食です!とかいいながら、うまいうまいと食べて、、


その後のお茶ミーティング


「向こうは大体整いました。あとはこちらの受け入れ体勢具合だけです。そのへんはどうでしょうか?」ダンマス


「司令官は、どう思いますか?」ガンダ


「そうですな、心配したらきりがない。現地では最低限やることは終えました。各地の畑の植え込みを終え、標準よりも早く芽が出たので土地の良さを確認。数日滞在し集落とその周辺のとりあえずの安全性確認。を終えましたので、あとは住んでみて追い追いですね。

新住民の研修ですが、先日のミーティングの通りでお願いいたします。」

と、司令官。


「ありがとう司令官。内容は前回のミーティングの内容でいいですか?」

「それでお願いいたします。」

「承知しました」


「あと、新しい方法も提案されています。可能な者達だけになりますが、1−2ヶ月の間、旅もさせてみようと思います。こちらの子の2−3人の付き添いでムータン人10人程度で。

上手く行ったら、そちらで新しい人達を現地に慣れさせるには効果的な手だと思いますね。

ダンマス、次回はどのくらいになるのですか?」

最後はダンマスに訊くガンダ。


「そうですね、総勢5万人程度はどうでしょうか?」


(うっわー、まじぎりぎり突いてくるなぁ、、毎月5千で10ヶ月、、)ドーラ

(うん、厳しいけど可能なぎりぎりだねぇ、、できれば半年くらいで全部終わらせたいけどね、、)ユータ

(おう、、だらだらやってられねーもんな、新鮮味残っているうちに後陣に教えさせたいもんなぁ、、)

(でも、旅はいい手だね!)

(ユータもそんな似たようなもんだったんだよな?)

(そうだねー)

来ていきなり冒険者チームに入って宿暮らし。狩りの毎日、、似たようなもんである。少しハードなくらいでw


(でも全体で40万だろ?)

(まぁ、、焦っても良くないし、、)

(だなぁ、、)


「うちは、当初は月に5000人、慣れたら1万程度なら、、どうにかやれる。司令官?」ガンダ、顔が引きつりながらどうにか答え、

「・・・ウチもどうにか、やります!ここでのんびりなんかしてられません!」決断する司令官である!


「よし決まりです。最初は日に千人くらい送り込みます。どんどんさばいていってくださいねー!」

「「・・・・・・・・・(最初は、、って、、)」」ガンダ、司令官


ダンマス、「日」に千人、って言った。

そりゃ一番最初3000人一度に来たが、同列ではない。「日に」だ。


どーすんだろ?

って、みな思った。


ーー


ダンマスは向こうの世界に戻り、ダンジョン2階層の扉の確認をし、王様に「明日1000人送ってみます」と伝えた。

王はもういつでも即座に動けるようにしていたので、その場で先行1000人ほどの120世帯ほどに連絡。彼等は荷物をまとめ始めた。明日朝には王宮前広場に集まるのだ。


翌朝、荷車を牽いて、120を超える世帯が王宮前に集まっていた。

ダンマスは、今日の行程を説明し、現地に最終的に落ち着くまでの流れを説明した。いままでもざっくりしたことは事あるごとに話してはいたが、確定したことでは無かった。今回は具体的なことになる。


民間人移転部隊第一陣ということで、見送りがすごく来ている。

頑張れよー!気をつけろよー!などの声に見送られながら、第一陣はダンマスの転移でダンジョンの転移門の前に転移する。


そして、各自荷車を押しながらそのまま門をくぐっていく。


ドラゴニアの世界側の門出口にはユーリが居る。そしてドーラとユータも居る。緊急時要員として来ている。

ドーラとユータは国内用転移門に、異世界転移門から出てきた者達を誘導する。


国内用転移門はドラゴニア本国の防衛隊本部の広場脇に設置してあるので、マキ達防衛隊と司令官と数十人のムータン近衛兵達が出迎える。


最初に出てきた者達がキョロキョロして停止するので、そのまま広場の奥まで誘導し、順に近い仮屋に連れて行く。20分程の歩きだが、その間に来た者達の興奮は少し落ち着くだろう。

「ここで約一月暮らし、研修を行います。」からはじまり、ざっくり説明しておく。で、夕食の時に詳細な説明を受けられると伝えておく。夕食は時間になればアナウンスがあることも。


夕方までにどうにか150近い世帯が仮屋に入れた。


夕方になると魔法の音声で街に夕食の時間です、出てきたゲートのところに集まってください、とアナウンス。

皆、家族でぞろぞろと歩いて20分ほどのゲートのところまで来る。

年寄りなど、歩くのがしんどそうな者がいたら、防衛隊の者達がイスの着いた荷車に座らせてゆっくり運んでいく。

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