第百五十三話 どっちがついでなのか?苗木と食い気 ムータン、市とタカ


タイで美味い食事と言えばイサン料理屋。

このためだけに東北地方の都市部に転移してきた。(イサン=東北地方のこと)


バンコクでイサンの美味しい店を聞いてきたのだ、イサン人の人に。


「超辛い!が、流石に旨いっつ!!」ドーラ

見た目ぜんぜん辛がっていないように見えるけど。

ローラも同じに見える。汗もかいていないので、周囲の現地人達が不思議そうに見ている。

ちなみに現地人達でさえ、額から汗流しながら食べている。


流石にユータは汗をふきふき食べている。が、身体強化とかカウンター状態異常を無意識に出来るようになっているおかげなのか、辛いとわかっててもそれほど辛いとは感じていないので食べられている。


外人3人が、現地人でさえ「辛ぇ!」(つれぇ、じゃなく、かれぇ、です)と思っているのにばくばく食っている!!しかもお代わりガンガンしている!!しかも熱い茶とかコーヒーとか飲みながら!!

(辛味抑えに熱い飲み物がいいのだ)

しかもカオニャオ食ってる!!

いや、もち米フカシたのだから食うけどさ。


ナムトックとかラープとか、まっかっかなんだけどね!(特に辛いほうが旨い料理)


「あーくったぁあ!!さて、、おばちゃーん!」

と、ドーラは店のおばちゃんに、このあたりに良い苗木を売っているとこ無い?と聞き、教えてもらった。

で、おみやげにと、一通りの料理を10人前づつ包んでもらった。ストレージにいれとけばいいからね。包むというか、ビニール袋に入れるだけ。ゴミがほとんどでなくっていいね!!



おばちゃんに教えて貰った植木など売っている店。

マンゴーの苗木(雌雄)を20組と、ドリアン苗木、パパイヤの苗(木では無く草なので)とバナナの苗も30ほど買った。全てストレージに仕舞ったらおっちゃん驚いていた。

「俺らドラゴニアの者だから」とか言っておいた。


あと、なんか美味しいものない?って聞くと、龍眼の苗木とライチの苗木を勧められた。皆土地が変わるとどうかわからんが、気候が似てれば結構可能性あるだろう、とのこと。

ドラゴニアの海の領地の森の一部を開拓すればいいだろう。

畑班も海岸領進出だな!




そのままユータ達は日本の自宅に帰宅。

丁度夕食の時間。

さっき昼飯食べたばかりだけど、向こうの昼時間から食べ始め2時間以上食べていた。

それから買い物して、こっちとの時差はマイナス2時間。なのでこっちでは丁度夕食の時間。


「あー、おなかすいた!」ローラ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

流石にドーラもあきれる。ドーラは夕食くらいはぺろっと食べられるけどそこまでお腹が空いてるわけではない。

ユータも、食べようと思えば食べられる、くらいだった。


ローラは調理している匂いで、うまそうな匂いなので=お腹すいた、となってるのではないか?。と少し思ったユータ。

ドラゴンというより、恐竜に近いのかな?、とかも。


ローラが先に風呂に入り、それからドーラとユータが入って出た頃に

「ごはんよー!」

「「「はーいっ!!」」」


居間でテレビを見ていた父さんも食堂に来る。


「今日はお寿司にしてみました!ローラちゃんははじめてかな?」

「おすし?」

「おう、しらないだろ、うまいぞ!」ドーラ

「ボク大好き」ユータ


まずちらし鮨を出すかあさん。

くんくん・・・くんくん・・・

「くさってる?」ローラ

・・・・・・・・・・・・


「いや、お酢の匂いだろ。酸っぱい調味料入れてるんだよ。」ドーラ

「わざと腐らせるの?」

「・・・これは腐っていない。まぁそういう食べ物もあるけど、これは違うやつ」

「んじゃ食べられるの?」

「だから旨いって!!」


ハイエナだって腐った獲物を食べないというし、ドラゴンって高貴っぽいから変なもん食べないだろうな。とユータは思ったが。


いや、今までドーラが食べてきたものを思い出すほうがいいぞ?ユータ!

ジャンクフード大好きドーラだ。ジャンクフード素材の闇とかおもしろいぞ!


でも最後にはお代わりを何度かして、巻きずしも食べ、手巻きにもチャレンジしていっぱい食べていたローラ。


結局ドラゴンは食べられるものであれば食べられる性質なのだろう!?!

いやまて!、この2人を見て、それがドラゴン全体の資質だと思っていいのか??!


ーー



一方ムータン

市とタカはムータンの人びとに気の起こし方回し方などを教え、その後簡単な魔法の使い方などを教えていた。なにせ数が万単位なので、常に新人が湧いてくるのだ。最初に教えた者達から数名、良い人を助手にしてもらっているが、それでもぜんぜん足りず。


魔法は、気をまとう(魔力を纏う)とか、種火を出すとか、手洗い程度の水を出すとかだ。

それらは午前と午後にわかれ、人びとは半日訓練し半日は日常に戻ることになっている。


それらが終わる夕方。

市とタカは王宮の中庭でダンマスに魔法の訓練を付けてもらっている。

「剣など武器の訓練は後でもいいでしょう。先に魔法を伸ばしてもらいます。ムータンの人の中には結構伸びてきた人も居ますからね。貴方達は常に先の先まで行っていなければなりません」と。


訓練中、ダンマスは市に訊いた。

「あなたの弟子たちで、魔力が付いてきた子は出てきましたか?」

「少しだけですね、拳にまとって自然石を割るくらいですか」

「ふむ、、これからですね。魔力を全身に纏って身体能力を異常にできるくらいになったら、その子がこっちに来たがれば連れてきてもいいですよ。」

え?手が停まる市。

「いいんですか?」

「ええ、全身身体強化ができるくらいになれば、あとはあなた達くらいまではスムーズに進みます。初心者の教官になれるでしょう。ただ、ムータンにいるとなると、もし敵が攻めてきたら戦わなければなりません、そこまで伸びて貰います。その覚悟、闘う覚悟があるかどうか、ですね」

「・・・はぁ」


市はまた魔力を寝る訓練を始めた。

市自身は闘うことを覚悟しているし、ドラゴニアに移住して魔獣達と闘うことも、ある意味楽しみにしてるくらいだ。

だが、この平和な世に生まれ育った子達が、どこまでその闘う事を理解できるのか?

いざ、ギリギリの段になって、「こんなこと知らなかった!」、とかになるのではないか?

そして、それは更に周囲を巻き込み、時には危機に陥れるだろう。


あまり連れてきたくないな、と市は思った。


ダンマスと市の話を聞いていたタカ。

ユータはそういう世界を生き抜いてきたんだ。とわかる。

彼はいつものほほんとしてぼーっとして、ドーラとバカ言い合ってる。でも、敵国を殲滅してきたと言った。魔獣をいっぱい狩って、皆に美味しいって喜ばれたと言った。


ユータはあっちの世界に行って一番最初に魔獣を一刀両断にして女の子達3人を助けたと、ドラゴニアでその女の子が言っていた。


今、ユータとドーラは、向こうの世界で、こっちからムータンの人びとが向こうに住むための領土と街を確保し作っていると言っている。

魔法でだ。

何十万人という人が住み生活できるように作っている。

それを頑張ってやっている。できるんだ。できるからやっている。何日かかるかどれだけ大変かなどわからない。

けど、かなり大変なんだろう。


ユータ達はそれを自発的に行い、ダンマスは「ところどころで言葉を掛けているくらいですよ。私は手伝っていません」だという。


自分も、その一部くらいはできるようになりたい。

ユータが守るものを一緒になって守るくらいになりたい。

それは、いつの間にかタカの中に生まれていた強い気持ちだった。

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