第四十八話 やっぱり皆一緒に暮らすのがいいね!

皆新領地で暮らすことになった。もとのところ全て引き上げて来たから。

「ま、さっぱりしたな!!」ドーラ

「・・、そう考えりゃ、そうだよな。ただ、、常に孤児ができているからな、、、」ガンダ

「それは転移で引き取りに行けばいんじゃねーの?」ドーラ


「まぁ、そうだな。院長先生、大丈夫ですかね?」ガンダ

「ええ、前回うまくいってますし、教会などの横槍がなければ、大丈夫だと思います。」院長


「冒険者たちにはかわいそうなことになったねー」マキ

「んまぁ仕方ないけど、後から他の人が始めるんじゃないかな?、土地は空いているんだから」テイナ


「オレは畑で実ったものが勿体無い、、」ザク

「それは、オレとユータで取りに行くよ。」ドーラ

「頼む」ザク

「まかせろ」ドーラ


「建物、どうしようか?」ユータ

「あ、建物は全部ユータのストレージに入ったままなんだった!」ドーラ

「・・・・・・・・・・・・・・」全員唖然

「・・・まじ?、、、」全員

「おう!」ドーラ


「、、、使いどころができるまで、、、しまっといて、くれる?」ガンダ

「大丈夫です。まだ入るみたいなんで、、、」ユータ

(まだ入るのかよ、、)



翌日の朝食後、あの件のおかげで皆がここに引っ越してきたので、満月銀月が久しぶりに全員揃って生活できるようになり、余裕のある朝を迎えられたので、

朝食後に茶を飲みながらミーティングをし、そんな会話をしていた。


ーーーー


その頃、

ダンジョンの入り口の森の入り口付近。冒険者達が何人も集まって騒いでいた。


「まじか、、当てにしていたのに、、、つーか、綺麗サッパリなくなってるってなんだよっ!!」

「オレ、買い取ってくれるからって、あのいらん魔獣を結構持ってきちゃったんだけど、、、どーしよ、、無駄働きか、、」

「つーか、この立て札からすると、また、領主か教会が悪さしたんだな!!」

「おう、奴らのせいで!!」

「やつら死ねばいいのに!」

「呪われろ!!」

「燃えればいい!」


その午後には、

もう街の冒険者ギルドではその話題でもちきり。

「はぁー、明日あたりダンジョンに行こうと思ってたけど、、めんどくさくなったなー」

「カネのあるうちに、他国に渡るか?」

「いーなー、この国はオレらにはよくねーな」

「よくねーどころか、もっと悪くなっていくんじゃねーかなー」

「オレもそう思う、、うちらは、2−3日うちに、他国に向かうわ、、」

「オレもうちの連中と相談してみるか、、」


「でもよ、皆!、よく考えてみろよ。一晩で!あの宿屋、道の奥の方の邸と宿と食堂と雑貨屋までもが全部、跡形もないだぜ?」

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」全員の顔から血の気が引いた

「・・・それ、って、、、」


「おうよ、、大魔法使いクラス、じゃね?」このギルドでは最もベテランの冒険者がそう言う。

「つまり、、なにか?、、この、、

「この国が、大魔法使いに見捨てられた、ってことだな」、いつの間にか来ていたギルマス。


「少なくとも、この領にとどまって良い事は、ねーな。」続けるギルマス

そこにいた冒険者達のみならず、ギルド職員達もざわめいた。

そんなところにまでなっていた。



その夜

「ぬわにぃいい!!!あの宿が跡形もなく?そんなわけあるか!!昨日行ったばかりだぞ!!」

領主の邸の前にある騎士団詰所で、あの珍妙ななりの男がそう喚いていた。騎士団長をしている領主の甥だ。

彼は剣もろくに使えず、馬もうまく乗れない。勿論魔法も大したこと無い。


そして、領主から与えられた騎士団長という地位を利用し、自分に都合の悪い者を追い出し、子飼いの無能を騎士団に入れていた。

だからそこそこの冒険者程度にすら敵うものはあまりいなかった。


「そうじゃ!そこに旅館を建てろ!私が経営しよう!」と、その甥はろくでもないことをいい始めた。

(チッ、またしちめんどくせー事を、、)騎士たち


翌日から、騎士団にその作業に入らせる甥。

ど素人の騎士団。


その前を通り掛かる冒険者たち。

騎士団が大工の真似事をしているのを見て苦笑する。

騎士としても大して使い物にならない者達の集まりに、何ができるってんだ?と。



その翌日の朝、騎士団達が建築現場に来ると、なんか様子が違っている。

なんだろう?

・・・・

「あ!畑がきれいになっている!!」一人の騎士が叫ぶ


そうだ、、作物がまったくない。昨日まで全て実っていたのに。


「魚のほうがどうだ?!」騎士隊長

たたたたた!

・・・・「ありません!なにも!、小屋さえも消えています!」


・・・・・・・・・・・

騎士たちの背筋が寒くなってきた。


かといって、あの騎士団長(領主の甥)が作業を休ませることなどしまい。この恐ろしさを理解できるとは思えない。と、団長は、皆にそのまま作業を進ませた。

(引け時かな、、俺は他に行くかな、、)

隊長は元中堅冒険者であったので、食うには困ることは無いだろうと思った。


ーー


「ここでいーかー?」ドーラ

「そこでおねがいしまーす!」養殖組干物班リーダー


本館の養殖場の小屋を持ってきたので、設置場所を確認していたのだ。

こっちにはこっちで作ってたのだけど、勿体無いのでその隣に置いた。

小物も何も増えたので捗る。

こっちのチームも、向こうと別れていたのが合流したので、本館にいた子達はほっとしている。

規模が全然違うんで、本館別館側は置いてけぼり感ハンパなかったのだ。


本館別館班の子どもたちは、新領地を見て感動している。

「ここが、俺達の国、、、」

見渡す限り、いや、見えないずっと向こうまで、、全部なのだから。

何に怯えることもない。権力なんか無い。強いて言えば、最も強いドーラが権力?みたいなもんだ。

安心こそすれ、怯えるものではない。



「これは、、、まぁ、、毎日にゃさい炒めで、使い切るにゃ!」

と、ユータとドーラが本館の畑から収穫してきた野菜の山を見たニヤ。


ヒモノや干し肉もたくさんあったが、干している途中のモノが多かったので、こっちに持ってきてまた干している。

最近は、魚を干して少し硬くなったら、尻尾を紐に縛って吊るす方法に替えたので、干す場所が格段に回転率良くなり、ヒモノの製造効率が倍増していた。

なので、いくら領地の人口が増えても、まだまだ余ってしまう。


「ヒモノも、どっかに売りに行きたいね。」ユータ

「ああ、特に味付けヒモノは売れるだろうな、こっちじゃ」ドーラ

そうなのだ。向こうの世界、父さん母さんやタカやイチさんは、「普通のが一番うまい」と言っていたのだ。


なので向こうは素の味。でも、こっちだと、子どもたちは味付けが好きだ。冒険者たちも味付のほうの弁当をよく買っていた。


「転移で、ほかの国に売りに行ってみる?」ユータ

「おもしろそーだな?」ドーラ


その晩のミーテイングでドーラが提案してみた。


「ユータとドーラなら安心だけど、なんか騙されそう、、」テイナ

「大人が一人居るほうが安心なんだけど、、でも、余っていないし、仕方ないか、、」マキ

「毎晩戻ってくるニャ!」

「それはいくら何でもきついから!」ドーラ

「うん、他国まで、ってのだけでも結構消耗すると思う、、」ユータ


「・・念話は使えるんだろう?」ガンダ

「多分、一方的になる。俺らは魔力強いからこっちには送れる。」ドーラ

「そうか、、じゃ、なんかがほしいとか指示あったらで、いいか、、」

「そうだな、全部売れたから次の用意しておいて!とかな!」ドーラ

楽天的だなードーラは


「あ、、そうだ、、言おうと、お願いしようと思ってて言うの忘れてたことがあった、先に、それやっといてくれるかな?」ジオ


「いいぜ?何を?」ドーラ


山の方に、物見台を作って欲しい。そこまでの通路を確保してほしい。

ということだった。

裏に高い山がある。平地に物見台を作るよりよほど効率的だ。


「ぞれじゃ、双眼鏡とか持ってこないとね!」ユータ

「だな!幾つか買って来ようぜ!」ドーラは買い物好きになっている。


最近ヒモノは月200枚捌けている。資金的には余裕だ。

「よかったよ、資金に余裕があって」

「だなっつ!」



その晩向こうに帰って、翌日学校帰りにホームセンターに行って頑丈そうなのを買ってきた。

「なんか、軍隊で使いそうなやつだね」ユータ

「おう、すげー頑丈そうだな?でもなんかかっこいいな!」

ドーラはもうこっちのかっこいいをわかっている。

漫画読み漁っているからね!


その晩の夕飯時に父さんと母さんに訊いた。

ヒモノ、もっと買ってくれるかな?と。

二人共大乗り気だった。


「なんか、U子おばさん他に自慢しているらしくって、他の人からも言われてたのよ、、もっと高く買うから回してくれない?って!!」母

「おう!奇遇だな!おれんとこも、あの社長アホなのか、他に自慢しまくって、取引先の社長から言われててなー、そっち回してもうちの社長は何も言えないしwちょうどよかった!あっはっは!、、、ざまぁw」父

何気に、、とうさん、、、


(多分、、倍、行けるんじゃねーかな?)ドーラ

(そうお?、、すごくなるね?)

(おう!王国の近代化!だなっつ!!!)

一体何するつもりなのか?ドーラっ!!

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