第四十六話 決断


「・・ボクは、やる。仲間を一人でも傷つけようとする者がいたら、殺す。ボクらが悪くないのに襲ってきたら、全員殺すよ、、、、

皆、ひとを殺すのがいやでもいい。・・ボクが、確実に敵を一人残らず、殺す。

・・・・だから、大丈夫、、全部、ボクが、、やるから、ら、、、」ユータ

「ユータだけにやらせない!オレも強くなる!強くなって、ユータの半分、オレがやる!!一人の逃さない!!」マシロウ

「・・オレだって、兄貴に負けない!、俺達の街を守る!敵を皆殺しにできる!やる!!絶対やる!!やってやる!!」カシマロウ

「私、孤児院から兵隊になった人知ってるの。たまにお菓子を持ってきてくれる。でも、もし、私達の敵になったら、、、逃さない。多分、泣くけど、泣きながらでもその人を殺すわ。一人も逃したくない、、、」ナライ


・・・・・


結局、ユータから始まって、皆泣いていた。そして、子どもたちは泣きながら、決意を自ら語った。



「オレは、最初から領主や王族や教会の奴らを殺れれば殺ろう、とは思っていたが、ドーラのようなとこまで考えていなかった。甘かった。甘すぎた。

が、、やる。最前線で一番最初にやってやる。一番殺してやる。それが罪だというのであれば、オレが一番背負ってやる。そんなこと言うのが神であれば、そんな神クソ喰らえだけどな。」 ジオ


「私も甘かったわ、、毒ガスとか、毒雨とか、そういうので、敵がまだこっちに着いていないところで、私が全員を一匹残らず仕留めて息の根を止めてやる。その死体を全部向こうに送り返してやるわ。

身にしみるでしょうよ!

それを見れば、その後は誰も家族を兵隊になんかさせないでしょうよ!」 テイナ


「テイナ、それ、すごくいいな、、ダンジョンの知り合いに聞いてくるわ、、範囲が範囲になるから結構ハードな訓練になると思うけど、頑張ろうな!」ドーラ


ははは、と乾いた笑いのテイナ



「さて!朗報です! 敵を殺すのは敵が来てからです。

では、敵が来ない時はオレらは何をしてるでしょか?」ドーラ


「訓練?」ユーコ

「あたり!、では、何が訓練になるでしょうか?」ドーラ


「魔法の練習とか、魔力量を増やすとか?」ピコーチカ

「正解!、では、何をすれば練習になるでしょうか?」ドーラ


「、、、身体強化とか、、」カッシムカ

「半分せいかーい!。そう、身体強化を使うとする。でも、ただ強化するのでは不足。とりあえずは、なんでもいいから作業に使うのが最も効果的。

なので、畑作業でもいい、森の開拓でもいい、食料確保に魔獣を倒すのでもいい、もしくは、仲間の魔法を使えない者達を身体強化してあげるのでもいいんだ。」ドーラ


「え?!仲間に身体強化魔法をかけてあげられるの?!!」カッシムカ

「おう!、ほれ!」

「あ、、、」

タタタタタ、、ガン!!!パカッ、、

カッシムカが走り出し、少し離れた隅に寄せてあったでっかい岩を殴って割った。


「ほう!!」全員

「・・・すげぇ、、」カッシムカ、己の拳を見つめる


「こんなんが、できるようになる。ただし、お前の魔力の力によって、どこまで強くしてあげられるか?、どのくらいの時間使えるのか?が、決まる。

なのでー、

朝の作業前に皆に身体強化をかけてあげて、で、お前らの魔力が尽きる。

昼迄寝て、午後の仕事の始まりの時に、また皆にかけてあげて、おまえらぶっ倒れるから、夕方まで寝る。

夜は、寝る前に、全員でこの街全体に結界を張る。で絶対ぶっ倒れるんで、朝まで寝る。

こーんな感じで一年も続けりゃ、この街も、皆も、お前らも、すごくなるぜ?」ドーラ


「天才か!!!」全員


「あ、でも魔力、魔法だけだよな、それしてて強くなるの」ジオ

「おう、子供のウチが延びどころだからな、慣れたら体力を付けるために畑仕事や走り込み、そして剣技など少しづつ始めればいい。

魔法使いって言っても、魔力尽きたら唯の人だからなー、そんときは簡単に死ぬよ。」ドーラ


・・・・・・(皆)


「だからあ!魔力尽きないように、がんがんやるんだろーが!!」ドーラ



ーー


そんなこんなで始まった毎日。


まず、全員、自分の身体強化を毎日続けた。

「どんだけやってもぶっ倒れなくなったら、人にかけてやれ」ドーラ


で、数日で他の子にかけてやれる子が出始めた。


勿論ジオとテイナはもう寝ている。朝ゴハン食べた後、数人を強化して、そのままぶっ倒れた。

訓練生達はそれを見て「羨ましい!」と思っていた。早くそこまでいきたい!と。



ーー


その夜、2人は日本側に戻った。

日本のユータの部屋、二人共それぞれベッドに入っている。


「ユータ、、あの時は、よくガンバッて言ったな、、」ドーラ


ドーラは、あの敵を全滅させることができるか?って時のことを言っているのだろう。


「うん、、、、もし、こっちの、こっちだったら、今の所はそこまで守りたいのは父さん母さんとタカくらいだけだけど、、やっぱり敵を一人残らず殺すどころか消し去ってもいいや、と思うようになったし、、

あのときのドーラの言葉で、ボクわかったんだ。


あのドーラの言葉で、うん、と言えなかったら、ボクは、あのいじめられていたボクと何も変わっていない、って。ただ強くなっただけ、なんだ、って。

ホントに強くなるってのは、ドーラが行ったことを本気でできる者なんだ、ろうな、、」


「ああ、そうだぜ!普段は下手に出ててもいーんだ、弱そうでもいいんだ。俺のダンジョンマスターなんかそーだったぜ?

でも怒ると怖かった。特に仲間が理不尽にやられたときなんか、、へらへら笑って楽しんでダンジョン中の魔物とかやってた冒険者達を、気が狂うまで追い込んで、挙句、少しずつ切り刻んでってたぜー。

その冒険者達の死骸を外に出して、そこに「遊びで殺戮するやつは、仕返しする」と看板立ててたよ、、」


ドーラ、なんか声が懐かしそうな感じだった。


「会いたいの?」

「うーん、出てったオレに、会ってくれるかなー、というか、もしまだ後任が決まってなかったら、連れ戻されちゃうからダメだなー」


「どっかの冒険者に聞いてみたら?8階層のボスって今誰?って」

「あー、いいな、別館の、マキに聞いて貰おう!」

「それがいいね!」



翌日は学校に行き、なんかみんながぎこちなく?話しかけてくれ始めた。

ボクもできるかぎりなんか考えて、一言でも多く話をしたかった。

なんだろう、向こうで、皆と話すのが好きになったからかな?


一人が言ってくれた。

「おまえ、話すのがまだぎこちないけど、一生懸命話そうとしているのはよくわかる。そういうの、嬉しいよな。」

・・・

「この学校に入って、よかった」ユータ

「・・・・そうか、、よかったな、、」そのクラスメイト



それから、なんか変な方に向かったりもした。

授業が終わりドーラと帰ろうとしてたとき、他のクラスの顔見知りが教室に飛び込んできた。

「あ!いた!間に合った!!ユータ、助けてくれ!!」

「?ボクにできることなら、、」

「サンキュッ!!助かる!!来てくれ!!」


彼に引っ張られて校舎を出て、そのまま、、、勿論ドーラも一緒に来る。


学校の近くの公園。駅と反対方向なんだなー、、、


そこに学校の生徒が10人くらい集まっていた。

「お!!来たぜ!」

「ああ!助かったー!!」

「これで勝ったぜ!!」

など口々に言っている。


??

「何やってるの?」訊いてみる

「あ、他校の奴らが喧嘩ふっかけてきてよー、、」

「逃げるのは?」

「これからずっと、どっかで待ち伏せされて、いいのか?」

・・・・


ああ、

(そうだ。面白いもんだな、、先日話した事の予行演習みたいじゃないか?あっはっは!)

(もう、笑いこっちゃないよー)

(でも、こっちは殺し合いじゃないんだ。気楽に行け!)

(うん!)


ボクには回復魔法もある。

まだまだ魔力は余裕がある。魔石だって持ってきた。


「ボク、喧嘩したことないからね?」と一応皆に断りを入れた。

皆、ご冗談を!とか笑ってたけど、言ったからね?


ボクはドーラと並んで歩き出した。

その、敵側の高校生の集団に。



「あ、、」

敵側の真ん中のボスみたいなのの横にいるのが、そのボス見たいのの耳に手を当てて耳打ちしている。

「まじか?」ボス

当然ボクもドーラにも聞こえる。


「チッ、、しかたねーな、、、今日は、やめだ。今後、あの高校に手を出すな。」

えーー!という声がその他のモブ達からあがる。

ギロッ!っと睨みつけるボス


「おう!おまえ、ユータとか言うんだろ、今日は師範の顔立てて見逃してやる。」ボス

「お?イチの知り合いか?いや、別にそんなのいいけど?」ドーラ

「でも、道場の子だったら、ぼこぼこにしたら、イチさん困らない?」ボク


「んー、、! おまえら、イチの道場に通ってるのか?通っている奴いたら手を上げろー」ドーラ

顔を見合わせながら、その10数人いるうちの3人くらいが手を上げた。


「おまえら、帰れ。ボコるとイチがかわいそうなことになるんでな。」ドーラ

「・・・・・」3人

ボス、頷く。3人走ってどっかに行く。


「んじゃ、やるか?」と、ドーラは気を放つ、

あ、、

「ドーラー、、ヤリ過ぎだったねー、、こっちの生き物は弱いんだから、気をつけようねー」ユータ

「・・・半分以下だけだぞ?なあ、、半分以下しか、しかも気を出しただけだぞ?威嚇とか威圧とか全くしてないんだぜ?!」

「そーですねー、、でも、こーなっちゃったんだから、、仕方がないねー。今日はよい実験したねー」ユータ

「あー、そーだな、、もう今後、指いっぽんくらいしか動かせねーな、、」ドーラ


ボクらは踵を帰して皆の所に戻った。


「え?どーなったの?」

と、皆様子が全く理解できていない。


「あー、、奴ら立ったまま気絶しているから、放っておこう。帰るぞ!!」ドーラ


いったいなんだったんだ?

ユータかたっちゃん(竜雄なので)がなんかしたの、見えた?

いーやなんも?

などと言い合っている。


「誰も怪我しなかったんだから、よかったろ?そんでいーじゃん!」ドーラ


まーそーだなー、

マッドナルド寄ってこーぜー、

とかいい出したので、皆で行く。


(ドーラ、ボク、こういうの、なんか初めて、、)

(よかったなー!なんか向こうと似てきたな?)

(うん!!)


その頃タカは道場でイチと稽古していた。イチもこんなことあったとは、当然知らない。

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