第15話
儘ならない呼吸を正すためと唇が触れ合う。
上がり続ける息を確認するように、時に離してはまた重ねながら。
何でこんな時にこうなるかなぁ。
色っぽい場面を期待するだけ無駄なのは判ってるのに願ってしまう浅はかさ。
少しずつ息が楽になってくる。
ずっと苦しいままでいいのに。
うっすらと目を開くと真っ赤な顔で様子を見ながら口づけを繰り返す。
口づけ、は俺だけの見解か。
いっそのこと、このどさくさに紛れて舌を入れてみようか。
拒否られても押しきればいい。
口内で
そうすれば、ひとりでなくなる。
歯裏を過ぎて唇を過ぎる寸前で口を閉じ、馬鹿馬鹿しい感情をひとり飲み込んだ。
「もう、いい……大丈夫だから……」
頬を包む手のひらが離れ、結束バンドをパチンと切るとツラそうな顔で覗いてくる。
どっちが被害者だよ。
「俺が今、何を出来るか言ってくれ」
「……とりあえずトイレ行きたい」
支度を整えると姫抱きで連れていかれる。
さすがに恥ずかしい。
「講義中だし
なるほど、筋肉の有り難みが判るが……。
「やっぱり好きじゃない、落とせよ筋肉」
「先にお前がぽちゃ化したらな」
謎な会話が交わされる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます