第14話

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

奥の部屋で絶叫を聞き急ぎドアを開ける。


ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!

やめろぉぉぉぉ!!

離せぇぇぇぇぇ!!


間違えようのない叫びが閑散とした教室中に響く。

はっと気付いた男はニヤリと笑いながら尚も動きを続ける。

急いで近付き男を退かす。


「何だよ、来るの早ぇよ」

殴りたい、兎に角殴りたい、息の根が止まる寸前までボコってやる。

だが、こちらが先だ。

「まあまあだな、あとはお前にやるよ」

着けていたモノと共に言葉を投げ棄てる。

「消え失せろ!!」


気休めだが羽織るシャツを腰に巻いてやりテーブルから下ろす。

「今バンド切るから待ってろ」

リュックから鋏を探すが見付からない。

何でこんな時に限って出てこないんだ!


「………っ……た…、入……った……あのクズ野郎の……ズプッて……」


「話さなくていい、指が折れる、後ろ向け」


「……何の遠慮もない……ただただ突きやがった……気持ち悪い、気持ち悪いっっ!!どうしたら消えんのこれ……。…………嫌だ、嫌だ、嫌だ!!助けて………どうしたらいいんだよ!!」


このままバンドを切れば怪我をする。

落ち着かせたいが言葉が見付からない。

『大丈夫』と軽々しく言える筈もない。


「…………そうか、お前が居るじゃん」

それは、どういう意味だ?


「お前が上書きしてくれればいいんだよ。  お前なら許せる……大丈夫、俺が手伝う。寝転がってりゃいいし……嫌なら、アイツみたいに……、後ろから……ヤれば、顔見……えない……し、だから……、だか……ら、……あれ、……息……苦し……い……」


過呼吸か!

袋が要るような事だけは知っているが当然持っていない。

どうしたらいい、どうしたら………。

そう言えば身ひとつで出来るやり方を前に漫画で読んだことがある。

でも、可能なのか?

いや、やるしかない。


嗄れた声で喘ぐ顔を上げさせ口を塞ぎ呼吸数を減らす。




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