第11話

正直、残念に思う。

お前も同じだったら良かったな、と。

意地を張ることも不自然な笑みをつくることもなく、有るがままに過ごせる人物が今後現れるとは限らないし。

お前が求めるなら応えるのも悪くないのに。


と、考えすぎても良くないのでここら辺で止めておこう。


「…………居ねぇじゃん……」

「どうする…………先に声かけ……」

最近無かったチラチラ視線が煩わしい。

クソ野郎の取り巻きが廊下で密談してる。

抜き足差し足で近付いてみる。

「何か用かよ?」

うぎゃぁぁぁ!!

俺はオバケか?

「お前にゃ用はねぇよ!」

じゃあ誰に有るんだよ。

「何企んでんだ、言え」

噤んでいた口を漸く開く取り巻き。チョロ過ぎだ。

何でも、アイツをボコる為に探していたという。

あの身体見て良くそんな事思い付くな、と感心しかない。

ピロン♪と奴等の携帯が鳴り、にやりと顔を合わせると、

「もういいわ、どけ」

ざわめく講義室に入っていく。


まさか、あの筋肉バカが捕まった、とか?

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