第7話
今回は俺について話そう。
幼い頃から始めた武道の才能が思いの外花開き、そこそこ名を馳せるようになったある日、ちょい悪な輩に絡まれていた同級生を助けた。
その後も何度かそういう場面に遭遇し、あるとき決定的な事態が起きた。
完全にボコられてる同級生。武道を嗜む者として手を出せない俺。人数的にも厳しいのは察せども全てが許せないという正義感が上回り、結局禁忌を破った。
救った同級生は感謝と謝罪の一言を告げて新たな地へと去っていった。
残された俺へは冷酷な視線が遠慮なく突き刺さる。無理な使い方を強いられた身体も以前のように儘ならない。
全てがどうでも良くなった。
自宅にも学校にも居場所はない。
当てもなく街をフラフラした。
たったそれだけでと笑うかも知れないが、ひとつを極め順風満帆に過ごしてきた者が受ける挫折は想像以上だったりする。
そんな俺を救ってくれたのが、大学教員の伯父だった。運良く進学校に籍を置いていた俺のケツを叩き、大学進学へ導いてくれた。
それでもついて回る消えない過去。
燻る噂がどこからか広がっていく。
孤独が蝕んでくる。
とことん弱ぇなぁ、俺。
よく武道なんてやってられたわ、スゲェよ、俺。
見放さないで居てくれる伯父にだけは全てを晒した。
「お前、外へ出てみるか?」
同期の留学生と教室へ入る。
黒髪がチラホラいるが明らかに同族ではない彫りの深さ。
遠征や合宿の経験で片言は話せるが卒なくやっていける自信が全くない。
教員に促されて席につく。
事前に『君の隣は日本人だ』と聞いていたが、どう見ても外・国・人。
(↑それ言ったら教室みんな外国人)
しかもスゲェ殺気。
講義終了とともに立ち去る隣人。
ちょっとお待ちを、日本語聞きたい、既にホームシック、じゃない方向音痴だから場所教えてくれ~!!
逃げられないよう急いで後を追う。
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