第6話
気を遣わせるうえに肩身の狭さもあって、成人して直ぐに下宿先を出て一人暮らしを始めた。
コンビニのお陰で飲食の不便はないし自分のリズムで好きに生活が出来る。
何をするのも自由だ。
(そう言えば…………)
人を招くのはコイツが初めてだ。
「これはあんまりだ、酷すぎる、耐えられん!」
ガタイの良い男が家に上がるなりドタバタと片付けを始める。
「生ゴミは処理してるし、各々の有る場所も把握してるから別に構わないんだよっ」
勝手に部屋をいじられて反論すると、
「口より手を動かせ!」
と、叱られる。
俺の部屋だから好きにさせろよ。
「ここって住んでどれくらいなんだ?!」
「2ヶ月ちょいくらいだけど」
「…………嘘だろ、汚部屋が過ぎる」
え、男子の一人暮らしなんてこんなもんじゃないの?
散々片付けに動いたら汗だくになってきた。
互いにTシャツ姿で飯の準備をする。
「お前、筋肉スゴいな……」
「鍛えたいなら教えるぞ」
「いや、俺、筋肉嫌い。何用なの、それ?」
「彼女を姫だっこするためだろうが」
へぇ、彼女居るんだ。
「…………いや、……その、……これから?」
ぷぷぷ!!
まさか童貞?……と聞くのはやめておこう。
「にしても、有りすぎじゃね?」
「俺のタイプはぽっちゃり女子だからな、不安なく抱き上げるには必要だろ。お前、筋肉がダメなら何が好みなんだ?」
…………は?
俺のタイプとか聞いてんの?
わざわざ?
「聞いちゃマズかったか?」
「そういう訳じゃないけど……」
この身でそんな会話をする事があるとは思ってもみなかったので正直戸惑う。
「まぁ、小悪魔系、かな」
「身体つきは?」
「………引き締まった、腹筋?」
「話が違う、筋肉嫌いじゃねぇじゃん」
あはは、という笑い声に混じりウィィンと唸っていたレンジがチンと高らかに鳴る。
何だろうな、コイツと居ると調子が狂う。
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