彼女~僕と澤部の物語り
ごめんね、そして……ありがとう
「また来たよ」
僕は彼女のお墓の前で手を合わせ、小さな声でそう呟くと閉じていた目を開き、空を見上げた。
雲ひとつないどこまでも広がる空から、真夏の太陽が痛いくらいに突き刺さしてくる陽射しで僕を容赦なく照りつけてくる。
15才という若さで僕を置いていった
中学年の頃に僕を献身的に支えてくれた女の子。
あの日、澤部に話しかけられていなかったのなら、出会っていなかったのなら、僕がここにいることもなかっただろうし、澤部もここにいなかったんだろう。
そして僕は立ち直れずに、ぐしぐじといじけたまま、バスケ部を辞めていたんだろう。
ごめんね.......僕と出会ってしまって
ありがとう.......僕に話しかけてくれて
僕は彼女にそっと触れた。
「夏だね、澤部」
僕らを包む静かな空間に蝉の鳴き声だけが響き渡る中、さよならと言い残し僕はその場を後にした。
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