第21話 今日もえ?ちょっと待って
前回、私は、石橋を叩いて橋を渡るくらいならふもとに降りて歩いて遠回りするくらい慎重だと書いた。
だが、私の両親は石橋を何で出来ているかも確認せず、渡りだして腐った石ではなく、木の橋だと気がつき、大騒ぎして、私の目の前で川に落ちていき、川から這い上がって、どうして教えてくれなかったのだ?と私に逆ギレするくらいせっかちだ。
せっかちは勝手だが、逆ギレはなぜだ。娘が危ないよと声をかけた時には歩きだしていたのは、あなた方ではないのか。
道もよく調べているわりには、方向音痴なため両親そろってよく迷う。
内向的なくせに、なぜかその両親の娘である私は迷ったら道は、迷った場所から引き返せば良いと思うのでズンズン歩くと、行きたい場所に着いている。
なぜだ、石橋は渡らないのに。無口だが芯のある故人の祖母に私の性格が似ていると親戚に言われた事があるが、遺伝か。
母親が10年以上前に、股関節の手術をした。だが予後が悪く、後悔先に立たずだが、セカンドオピニオンをした。鎌倉まで。
なぜ、鎌倉かと言うと股関節で有名な先生がいたからだ。
ちょうど5月、虚弱体質の私は高熱を出して胃腸炎の1番悪い時だった。
両親は、いつもタイミングまで悪い。私が1番辛い時にいない私のお墨付きがつくくらい間が悪く、タイミングも悪い。
運転が下手な父親が(地震で通過する新宿の駅から電車が止まった時、私は家に帰れなくなり、ちょうど仕事帰りの父親が会社の車で拾ってくれた、が、1時間近くの帰り、助手席に座る私は、ブレーキを踏みまくる父親の車に酔いに酔ったくらい下手だ)レンタルで車を借り、鎌倉まで行くという。
話しを戻す、胃がギリギリとネジ切れるように痛かった私は最初に暮らしていたお転婆なハムスターの女の子を部屋に入れ、寝込んでいた。
もう、未来に不安しかない。病院に行き薬ももらっていたが、脂汗がでるほど母親の入院、退院、セカンドオピニオンに疲れがどっと出ていた。
ポカリしか飲めなく、残り少ないため夕方までに帰りポカリを買うと、まるで不安しかない走れメロスのような事を父親は豪語して言う。
午前8時に車で出て午前12時には、つくはずだ(予定は未定のお約束)
しかし、11時をすぎても着いたと連絡がない。
一人っ子で孤食を小学生からサバイバルしていたとは言え、高熱のポカリ切れは流石に限界だ。
母親に電話をかけると「まだ病院についてないの・・・」
えっ?ちょっと待って、自宅から出て3時間だよ?
母親の横からイライラしている父親の声が聞こえて、道を誰かに聞いたら?と疲れきった母親の声が聞こえる。
両親の子供を数十年勤めてきた娘の私は察した。メロスは、間違った、父親は完全に迷子になった。
諦めぐせがすでにある私は、静かに電話を切り1時間後に電話した。
確かさっきはナビのお姉さんが「目的地まで3キロです」と涼しげな声で言っていた。
メロスのように両親は足で走っているのではない。人類が発明した文明の利器、車で走っているのだ。
受診もしていないのに疲れはてた声で母親が電話に出たと同時にナビのお姉さんが愉快に話した「目的地まであと5キロです」
え?(以下略)何で距離が伸びたの?父メロスは、運転が下手なうえに方向音痴なうえに人に道を聞けないと言ういらないプライドまで持ち合わせていらっしゃる。
たぶん、走れメロスの原作なら友人、処刑されてるが現実は残酷に続くものだ。
夕日が射し込み、胃腸炎で腹痛もさしこんだ夕方4時、限界がきたのは私ではなく暮らしていたハムスターだった。
布団の中で七転八倒していたら、なぜか誰もいない台所からトコトコ音がする。
慌ててハムスターのお部屋を見たら、空っぽだ。お転婆な女の子は脱走していた。
ハムスターの4時間は、人間の1日。約1週間部屋にいれば、そりゃ家出もしたくなるだろう。
よろつきながら、台所に息絶え絶えに名前を呼ぶと台所のすみっこで、拾い食いを楽しむ哀愁ただよう丸い背中があった。
まだ当初はお転婆すぎて、よく指を噛む子だったので、ヨロヨロ近くにあった料理用ボールで捕獲し、腕に抱っこして部屋に戻した。
父メロスと母親が帰宅したのは、夜7時。どえらい運転下手と方向音痴とプライドの高い人間の前では文明の利器、車すら力が及ばないのだ。
あれからも、両親に対する、え?ちょっと待っては今日も続いている。
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