第14話 今日も図書館

字が読めない幼い時から本が好きだった。



もちろん、ひらがななど字の読めない幼い5才くらいまでは、絵本の絵を楽しんでページをめくり、ひらがなから読めるようになってから、本に夢中になる。



絵本がボロボロになるまで読むので、母親は一冊ダメになると一冊また本を買ってくれた。



軍隊式教育の父親とイギリス寮長式の母親は、本など教育に関わる物だったら買ってくれたので、ゲームやぬいぐるみやお人形を買えない私は、とにかく本をねだった。



小学生低学年から図書館に親と行き始めて、高学年から大人になる今に至るまで時間があれば図書館に行く。



海外のことわざで、死にたくなったら図書館に行け、人はいるが関わらず、本を書いた先人達の知識に救われ、静かな場所で気持ちが落ち着くとまで言われてる。



地獄を人生で何度も見てきた私は、本も借りずに涙目で図書館に何度か救われた事がある。



小学生高学年から、僕らの七日間戦争シリーズを読み出した。映画にもなったのでご存じの方も多いと思う。



それから中学校に上がってからは、とある国語の先生から乃南アサさんの凍える牙を教えて下さり、ミステリーにどはまりした。



宮部みゆきさん、貴志祐介さん、有栖川有栖さん、赤川次郎さん、京極夏彦さん、湊かなえさん、大沢在昌さん、乙一さん、北村薫さん、誉田哲也さん、コナン・ドイル、etc.とにかく片っ端から読んだ。



夏休み、冬休みは、最初の月前半に宿題や課題を終わらせ、後半は毎日のように図書館に行った。



ちなみに、付き合いが悪くなって離れた友人もいたが、とにかく本と静かな図書館は、私のサンクチュアリであり居場所であり、天国だ。



友人からは、ドン引きされた事が多々ある・・・。



最高30冊まで借りられた時は、30冊借りて小さな体でよたよた家まで持ち帰り、本に囲まれて幸せな時間を過ごす。



顔馴染みになった図書館のお姉さんとは、この本が面白いと話をしたり、私の理想の女性像だった。



新しい新刊の本から見て、予約した本を借り、後は自由に図書館を歩き回る。



特に高校生の時の夏休み、窓際に大きめのソファーが置かれてから私のお気に入りの場所になり、本を読んでいると、少し夏の涼しい風が吹くので最高。



一人、微笑んでまた読書に戻る。



大好きな祖父が高校生の時に倒れ、その現実を受け止めきれない時は、図書館に駆け込み、なかなか人が来ない図書館の奥で独りで泣いた。



図書館は、喜びも悲しみも孤独も全て受け止めてくれる。



大人になった今でも、辛い時に図書館に必ず行く。



顔馴染みの司書さん、守衛さん、窓からはこもれび。



専門書や英語の書籍、苦手なジャンル以外はほとんど読み尽くしてしまう。



しかし、図書館に行くと読んだ本がまた読みたくなり、新刊は私をわくわくさせてくれる。



人間が生涯読める本は、五千冊とも言われているが、私が読みたい本は人生何回繰り返しても足りない。



人生への欲が少ない方だと思うが、本だけは読み足りず、来世があるなら本のためだけに生まれ変わりたいくらいだ。



図書館が、おいでよ、と言ってくれる。



本に関して単純な私は、今日も図書館に行く。




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