第67話 バビロン捕囚からの解放

 「ダビデに恋して1」でもお伝えした事がありますが、捕囚の事をEXILEと言います。捕虜にされたイスラエル国民の心情をティアモの替え歌で書いた記憶あり。


 戦争捕虜。バビロニア帝国もユダ王国から多くの民を強制連行しました。目的はいつの時代も同じですね。国を奪い、民のアイデンティティを崩壊させることです。反乱防止に加えて、職人やエリトート集団の知能を獲得します。


 バビロン捕囚は実は四回に渡って行われました。まずは西暦前605年にエリート集団を連行します。この時あの有名なダニエルが連行されます。属州扱い。


 西暦前597年には上級国民一万人。西暦前586年が一番ひどく、エルサレム神殿が壊されます。当時の王、ゼデキヤがバビロンに反乱を起こしたからです。


 ゼデキヤ王は目の前で子供たちを殺され、自身も目をくり抜かれて連行されます。この時、涙の預言者エレミヤも一緒にバビロンへ。最後は西暦前583年に745人。残ったのは労働力としても使えない貧しい農家だったといいます。


 悲しい事にイザヤの預言が成就しましたね。悪い出来事が成就したという事は、解放の預言も成就するはずです。どんな預言だったのでしょうか?


『わたしは、わたしのしもべのことばを成就させ、わたしの使者たちの計画を成し遂げさせる。エルサレムに向かっては、『人が住むようになる』と言い、ユダの町々に向かっては、『町々は再建され、その廃墟はわたしが復興させる』と言う。イザヤ44:26


 神はイザヤに語った預言の言葉を成就させると前置きし、エルサレムの町に囚われたユダの民を戻して町を再建させると約束されました。


 でもどうやって? バビロニア帝国が他の国に攻められるしか方法がありませんね。この当時バビロニア帝国よりも強い国ってどこでしょうか? 分かりますか? その点を次の聖句が教えてくれます。


『淵に向かっては、『干上がれ。わたしはおまえの川々をからす』と言う。わたしはクロスに向かっては、『わたしの牧者、わたしの望む事をみな成し遂げる』と言う。エルサレムに向かっては、『再建される。神殿は、その基が据えられる』と言う。』44:27


 はい、名前が出ました。ですって。誰やねんって思ったそこのあなた、思い出して下さい。世界史でこんな名前の王様覚えた記憶ありませんか?


 正解はメディアペルシャのクロス大王です。キュロス二世とも言います。


 川を干上がらせるって言ってますね。どこの川でしょうか? バビロニア帝国はどこにあったでしょうか? 


 バビロニア帝国はの両岸に位置していました。堀があって巨大な城壁に囲まれていましたね。難攻不落の都市です。


 キュロス大王はバビロンより上流のある地点でユーフラテス川の水を他所に流し、川の水位を下げる戦略を思いつきました。いや、神様に知恵を与えられます。


 メディア・ペルシャ軍は簡単に城に向かう事ができます。しかし、門扉は簡単に開かないはずです。何十キロもある重たい門です。内側からかんぬきだってしっかり掛けられています。しかしその点も神様は抜かりありません。


『わたしは彼の右手を握り、彼の前に諸国を下らせ、王たちの腰の帯を解き、彼の前にとびらを開いて、その門を閉じさせないようにする。わたしはあなたの前に進んで、険しい地を平らにし、青銅のとびらを打ち砕き、鉄のかんぬきをへし折る』44:28〜45:1


 えっ、どうして? って思ったそこの貴方、思い出してください。西暦前539年10月5日から6日にかけて、バビロン城では何が行われていましたか? 『ダビデに恋して1』のダニエル編「壁に書かれた文字」のエピソードです。


 バビロン城では宴会が開かれてましたね。盛り上がってる最中に突然、手首が出てきて「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」って書いた話です。ベルシャザル王が腰抜かしましたね。ホラーですものね。


 宴会だったので気が緩んだのでしょうか? 閂は掛けられず、門が開け放たれていました。クロス大王率いるペルシャ軍によって、ベルシャザル王は殺されました。バビロニア帝国陥落です。


 涙の預言者エレミヤも解放についての預言を語っていました。バビロン捕囚から解放まで70年間だと。見事に70年後にユダの民は解放されたんです。


 イザヤが預言したのは、この出来事より150年以上前です。ですがクロスという固有名詞ありの預言が成就したのです。この点も死海写本の発見で疑いが晴れました。


 神様って本当にいるんだね。聖書の預言なんて偶然なんじゃないの? よく出来た物語ですね。お好きな考え方で捉えてくださいませ。


 次回、私が好きなイザヤ書の聖句を独断と偏見でご紹介致します。乞うご期待!


 


 


 

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