第66話 バビロン捕囚に関する預言
アッシリア帝国に攻略されなかったユダ王国。これもヒゼキヤ王の篤い信仰心のおかげです。セナケリブ王とラブシャケお疲れ様でした。
ヒゼキヤ王はご満悦です。十五年寿命も延ばしてもらえたし、あとは平和な老後を送るだけになるはず、なるはずでしたが、とんでもない事になりました。
『そのころ、バルアダンの子、バビロンの王メロダク・バルアダンは、使者を遣わし、手紙と贈り物をヒゼキヤに届けた。彼が病気だったが、元気になった、ということを聞いたからである』39:1
ヒゼキヤ王が病気で死にかかったのに、治ったという噂が近隣諸国に流れました。ヒゼキヤ王の神が奇跡を行った! ヒゼキヤ王の信仰心は素晴らしい!
バビロンの王様もヒゼキヤ王に感服して贈り物をします。お見舞いですね。バビロンの王は家臣を連れてヒゼキヤ王に会いに来ます。ヒゼキヤ有頂天。
『ヒゼキヤはそれらを喜び、宝庫、銀、金、香料、高価な油、いっさいの武器庫、彼の宝物倉にあるすべての物を彼らに見せた。ヒゼキヤがその家の中、および国中で、彼らに見せなかった物は一つもなかった』39:2
ヒゼキヤ王は自分の富と力を誇りたくなったのです。それを知ったイザヤさんはヒゼキヤ王の元に行ってこう言います。
『そこで預言者イザヤが、ヒゼキヤ王のところに来て、彼に尋ねた。「あの人々は何を言いましたか。どこから来たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「遠い国、バビロンから、私のところに来たのです。イザヤはまた言った。「彼らは、あなたの家で何を見たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「私の家の中のすべての物を見ました。私の宝物倉の中で彼らに見せなかった物は一つもありません』39:3〜4
正直者のヒゼキヤ王は父親代わりのイザヤに包み隠さず話します。
『すると、イザヤはヒゼキヤに言った。「万軍の主のことばを聞きなさい。見よ。あなたの家にある物、あなたの先祖たちが今日まで、たくわえてきた物がすべて、バビロンへ運び去られる日が来ている。何一つ残されまい、と主は仰せられます』39:5〜6
なんと言う事でしょう。見せびらかしたのが悪かった。バビロン側の貪欲さをさらに刺激してしまいました。
ただ見せたのなら神様は怒らなかったかもしれません。ヒゼキヤ王は自分に頼らず、物質に頼った事が許せなかったのでしょう。罰としてバビロンを用いてエルサレムを攻略させると言います。
せっかくアッシリア帝国の脅威から救われたのに。ペナルティ大きいですね。モーセがエジプトから戦利品として奪ったお宝もソロモンのお宝も全部、バビロンに持ってかれるそうです。
イザヤもこの預言を語るのは辛かったでしょうね。さらに捕虜についても、
『また、あなたの生む、あなた自身の息子たちのうち、捕らえられてバビロンの王の宮殿で宦官となる者があろう』39:7
一般市民は殺されますが、エルサレムの賢い者達と、王様の子供達は捕虜にされます。そして宦官にされちゃうんですって。
ご存知の方も多いと思いますが、宦官ですよ。かんがんです。簡単に言うと去勢された男性の事です。チ◯コ斬り。
始まりは遊牧民が動物たちを大人しくさせる為に、生殖能力を奪ったそうですね。牡馬は従順になりました。これって人間にも応用効くのかなって。
歴史は古くメソポタミア文明のシュメール人、オスマン帝国、古代ローマでも行われました。戦争捕虜を従順にさせるために。また皇帝の身の回りの世話をさせる為にあちこちで行われたようですね。
中国では歴史家として名を残した司馬遷が有名ですね。刑罰で宦官になる者もいましたが、優秀な宦官は皇帝の頭脳となって政治や軍事を動かしたようです。
しかし、ヒゼキヤ王の息子たちは違うようです。宦官になるということは残念すぎます。小刀で陰部を切断され、三日間飲まず食わずで痛みに耐え、尿が出れば成功ですが、出なければ尿毒症で死ぬ事もあるんです。
ヒゼキヤ王の罪は重いです。( ; ; )
イザヤがバビロン捕囚の預言を語った115年後、西暦前586年に新バビロニア帝国ネブカドレザル王がエルサレムを攻略します。預言通りです。
次回、イザヤはユダの民がバビロンから帰還する事も預言していました。こちらもまた面白いです。乞うご期待!
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