第65話 メシアに関する預言

 パンツ一丁の、いや大預言者イザヤはメシアに関する預言をたくさん残しました。それゆえに、イザヤ書はとも呼ばれています。


 油注がれた者という意味を持つメシア、つまりイエス・キリストに関するどんな預言を残したのか、今回は紹介致します。


📖 エッサイの根株から新芽が生え、その根から若枝が出て実を結ぶ。11章1節

 

 エッサイという人を覚えておられますか? ダビデ王のお父さんです。イエス・キリストはエッサイ、ダビデの家系から出るという預言です。


📖 見よ。処女がみごもっている。そして男の子を産み、その名を『インマヌエル』と名づける。7章14節


 受胎告知です。処女が男のを産み、という意味を持つインマヌエルという名前を与えられます。ヘブライ語です。


📖 ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。ひとりの男の子が、私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「くすしい助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。その主権は増し加わり、その平和は限りなく、ダビデの王座に着いて、その王国を治め、さばきと正義によってこれを堅く立て、これをささえる。今より、とこしえまで。万軍の主の熱心がこれを成し遂げる。

9章6、7節(新改訳)


 イエス・キリストについての呼称です。地上での群衆への教え方はくすしく、また天から王として支配する時は、永遠に平和をもたらし、公正な裁きを行います。



イザヤ書53章1〜12章全てはメシアの預言です。成就した点を短く記します。


📖 彼は主の前に若枝のように芽ばえ、砂漠の地から出る根のように育った。彼には、私たちが見とれるような姿もなく、輝きもなく、私たちが慕うような見ばえもない。


 イエス・キリストの立場は低く、生活も質素でしたね。大工の息子です。


📖彼はさげすまれ、人々からのけ者にされ、悲しみの人で病を知っていた。人が顔をそむけるほどさげすまれ、私たちも彼を尊ばなかった。


 当時の宗教指導者から収税人や娼婦の友と呼ばれ、杭に付けられた時は罪人バラバより軽く見られました。顔に唾を吐かれたり、拳で殴られたり、ひどい扱いを受けました。


📖しかし、彼は、私たちのそむきの罪のために刺し通され、私たちの咎のために砕かれた。彼への懲らしめが私たちに平安をもたらし、彼の打ち傷によって、私たちはいやされた。


 イエスは十字架にかけられて亡くなりました。イザヤの時代、磔による処刑はありませんでした。イエスの死によって罪が取り去られます。

 

📖彼は痛めつけられた。彼は苦しんだが、口を開かない。ほふり場に引かれていく羊のように、毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、彼は口を開かない。


 ピラトの前で祭司長と年長者たちが虚偽の訴えをした時も、イエスは何も答えず、有罪宣告を受けました。


📖しいたげと、さばきによって、彼は取り去られた。彼の時代の者で、だれが思ったことだろう。彼がわたしの民のそむきの罪のために打たれ、生ける者の地から絶たれたことを。 彼の墓は悪者どもとともに設けられ、彼は富む者とともに葬られた。彼は暴虐を行わず、その口に欺きはなかったが。


 苦しみと辱めを受けたのち、西暦33年、二人の悪人に挟まれる形で杭につけられて、亡くなりました。遺体はアリマタヤのヨセフという裕福な人に埋葬されました。


📖しかし、彼を砕いて、痛めることは主のみこころであった。もし彼が、自分のいのちを罪過のためのいけにえとするなら、彼は末長く、子孫を見ることができ、主のみこころは彼によって成し遂げられる。


 イエスはご自分の命を人類の罪を取り去る贖いとして捧げました。それが神様のご意志です。


📖彼は、自分のいのちの激しい苦しみのあとを見て、満足する。わたしの正しいしもべは、その知識によって多くの人を義とし、彼らの咎を癒す。──彼は多くの人の罪を負い、そむいた人たちのためにとりなしをする。


 イエス・キリストは全人類の罪を取り去りますが、イエスに罪を告白し、贖いの犠牲に感謝してイエス様に信仰を働かせるなら、神様と和解できます。



 めちゃくちゃキリスト教になりました。しかしこの言葉はイエスが生まれる700年以上前に書かれた物です。イスラエルの神がイザヤに書かせた物です。


 そして使徒たちも、パウロも全てイエスに成就したと認めています。イエス様ご自身は、預言を成就させるために世に来たと述べて、生涯中、イザヤ書を引用して群衆に教えた事もあります。


 しかし、聖書研究者はあまりにも成就しているので、53章だけキリストの死後書かれた物だと疑いました。その疑いが晴れた出来事が起きます。


 ご存知の方もおられますね。そうです。1947年2月、イスラエルの死海のほとり、クムラン洞窟で写本が見つかりました。死海古文、死海写本です。


 遊牧民の17歳の男の子が逸れたヤギを探して、洞窟に石を投げます。石の音に反応して戻ってくると思ったのでしょう。しかし、カーンという奇妙な音がします。大人たちに知らせて、洞窟を訪れると、土器の壺があり、中にはなんと、羊皮紙に書かれた巻物が出てきました。


 イザヤ書全巻の巻物発見! いつから洞窟に隠されていたのでしょうか?

西暦68年、ローマ軍がエルサレムを攻撃する寸前、写本が隠されたのです。


 1900年間、誰にも見つかる事なく。奇跡ですね。写本と1947年時点での聖書の内容は一致しています。聖書研究者の疑いが晴れました。


 信仰の篤い人たち、特にユダヤ人たちは喜んだ事でしょう。なぜなら同年11月国連総会に於いて『パレスチナ分割決議』があったのです。


 イギリスの委任統括を終わらせ、アラブ人とユダヤ人国家を創出し、エルサレムを特別な都市とする事になったのです。神様の導き、手の業だと思ったことでしょう。それを機に色々な巻き物の断片が発見されました。


 今年、3月には65年ぶりに新たな断片が発見されました。ゼカリヤ書です。


 命がけで聖書を写本した古代の人々。良かったね。ロマンですね。


 さて次回は、アッシリアには滅ぼされなかったユダ王国ですが、ある国に滅ぼされちゃいます。イザヤはその点を預言していました。乞うご期待!

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