第62話 私がここにおります! 私をお遣わしください!

 神の元に立ち返る民はいるのでしょうか? モーセの時代の民を思い返すと無理じゃねぇって思いますよね。


 イザヤさんの通信環境が整ったみたいなので、今回はそんな点も含めて色々聞いていきたいと思います。リモートでのインタビューです。


ハナス🌸「わぁ、イッ、イザヤさんだ! 本当にリモートが繋がるとは驚きました。神様って何でもしてくれるんですね……こんにちは、イザヤさん。今日はインタビューに応じて下さりありがとうございます。無事に招待URL届いてよかったです。ばっちりお顔も映ってますよ!」

イザヤ🌼「……、………、…………………………………」

ハナス🌸「……イザヤさん、すいません、ミュート解除してください」


イザヤ🌼「あっ、聞こえます? すいません。慣れないもので。こんにちは、ハナスさん。お久しぶりですね。今日は宜しくお願い致します」


ハナス🌸「初めてだと思いますけど、まっ、いいか。そこは何処ですか? Wi-Fiって確か神殿に設置して貰ったと思うんですけど。バーチャル背景やめてもらえますか? 宇宙に同化してますよ。せっかくなので神殿の様子見せて下さいよ」


イザヤ🌼「ハナスさん、無理です。ウジヤ王の喪が明けてないので、今日は神殿内部をお見せする事は出来ません」


ハナス🌸「まぁ、ウジヤ王って祭司しか入ってはいけない家に入り込んで、高慢さを表しちゃった王様でしたよね? 神様の罰で重い皮膚病になって、隔離されたまま亡くなったんでしたね。ごしゅうしょ、ご愁傷様です」


イザヤ🌼「もう一週間経つんですが、私、失意のどん底でした。ウジヤ王は善い王様だったんです。私にも良くしてくれました。それなのに、ウッ、泣けます」


ハナス🌸「近い、近い。泣いてもいいですけど、画面いっぱいイザヤさんの顔が。あっ、そこ額ですね。なんかエリシャさんとかパウロさんみたいです」


イザヤ🌼「パウロって誰? まっ、毛が少ないって言いたいんですね」


ハナス🌸「ごめんなさい。四十分で終わらせたいので、早速本題に入りますね。───失意のどん底の中で幻を見たとイザヤ書に書かれているんですが、その時の事を詳しくお聞かせ願えますか?」


イザヤ🌼「はい。私、天の様子を見ちゃったんです。神様が天高くに座っておられて、衣の裾が神殿いっぱいに広がっていました。その御座の周りには六つの翼を持ったセラフィムが飛び回って神を賛美していたんです」


ハナス🌸「セラフィムって天使の事ですね。調べましたよ。天使って二つじゃなくて六つの翼があるんですね。二つで顔を覆って、二つで両足を覆って、二つで飛ぶんですよね。その天使達はどんな風に神を賛美していたんですか?」


イザヤ🌼「『聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主、主の栄光は地を全て覆う』って称えていました。もう私、神様と天使を見てしまったので、死ぬんじゃないかと怖くなりました。いや、神様に滅ぼされると思って震えました」


ハナス🌸「ですよね。神様を見た者は生きられないってモーセが脅してましたものね。使徒ヨハネも天使を見たらしいんですが、聖なるかなって三回言ってたそうですよ。清さや神聖さを強調されたんですね。イザヤさんは西暦前740年頃でしょ、使徒ヨハネは西暦96年頃です。他に言うことないのかしら?」


イザヤ🌼「ハナスさん、神様に怒られますよ! 私なんて自分が汚れているってびびりました。唇の汚れた罪人だってビクビクしてたんです」


ハナス🌸「その話、有名ですね。イザヤさんの汚れた唇を清めようとして、天使の一人が祭壇から炭火を火鋏で持ってきたんでしょ?! どんなプレイですか」


イザヤ🌼「プレイ? 何を言ってるんですか、ハナスさん。失礼な! 私の唇に炭火をジュッってしてくれたおかげで、火傷して、いや、嘘、ちゃんと清められて正しい言葉を語れるようになったんです!」


ハナス🌸「そうでした! それは良かった。それで神様が例の台詞を言ったんでしたね。これもめちゃくちゃ有名ですよ。『誰を遣わそうか。誰が我々に代わって行くだろうか?』って。霊的に病んだイスラエル国民に裁きの音信を伝える人募集してましたね。神様っていやらしいですね。イザヤさんしかいないのに」


イザヤ🌼「ハナスさん、言い方気を付けてください。神は、私の預言者としての決意表明をさせて下さったんですから。ありがたいです。じゃ、私が何て答えたか教えちゃいますね。いいですか?」


───ピンポーン

ハナス🌸「すいません、イザヤさん。今日置き薬屋さんが来る日でした。五分待って下さい。その間、このビデオ流しますので観ていて下さいね」


五分後

ハナス🌸「イザヤさーん、お待たせしました。さあ、どうぞ!」


イザヤ🌼「はっ、早いですね。じゃ、私が何て答えたのか言いますね。ああ、ハナスさんもう一度神様の台詞言ってもらっていいですか?」


ハナス🌸「めんどくさっ(小声)『誰を遣わそうか、誰が我々に代わって行くだろうか?」


イザヤ🌼「『私がここにおります! わたしを遣わして下さい!』決まった!」


ハナス🌸「おお、カッコいいです。めちゃくちゃかっこいいですね。鼻血出てなければパーフェクトでしたよ。イザヤさんたら。もう。エッチなんだから」


イザヤ🌼「ハナスさん、私の事何だと思ってます! 神に用いられた大預言者ですよ! このあとヨタム王、アハズ王の力になり、イスラエル国民を神に立ち返らせるんですから。いつまでだと思いますか? 聞いて驚かないで下さい! ユダの街が荒れ果てて、住む者がいなくなり、土地が滅びるまでなんです」


ハナス🌸「お疲れ様でーす。知ってますとも。ウジヤ王のひ孫ヒゼキヤの代までですよ。イザヤさんはあと四十年間預言者として奉仕するんです。ガンバレ!」


イザヤ🌼「よっ、四十年ですか?! ヒゼキヤって誰? いい王様ですか? それとも悪い王様ですか? ハナスさん、知ってるなら教えてくださいよ!」


ハナス🌸「教えなーい。あっ、イザヤさん、今日はインタビューに応じて下さり本当にありがとうございました。時間です。退出の所ポチってして下さいね」


イザヤ🌼「ええ! もう終わりですか? またプライベートで遊んでくださいね。けどハナスさんはいいので、またあのビデオ見せて下さい。さよなら」


 イザヤさんはとても楽しい預言者でした。メンタルがとても強いです。知らんけど。


 次回、イザヤが伝えた裁きの音信と希望の音信。乞うご期待。

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