第63話 アッシリアがヤバいです!

 イザヤの住むユダ王国は支配者のことを「ソドムの命令者」と呼び、民は「ゴモラの民」と表現されるほど最悪な状態になっていました。


 ウジヤ王亡きあと、二十五才のヨタム王が支配を開始します。戦にも勝ち、経済的にも豊かになったユダ王国。なのに、民は腐敗しています。豊かだろうと偶像崇拝はやめないのが人間です。


 ヨタム王は十六年間治めてお亡くなりになりました。そのあと、二十歳のアハズが王位に就きましたが、此奴が曲者です。人身供犠が大好きです。趣味です。


 そんなアハズ王に悪い知らせが届きました。シリア軍がエルサレムを攻囲しているとの事です。アハズ王も民もビビります。


「彼の心と民の心は風のために森林の木々が震える時のように震え始めた」7:2 震え方がおしゃれですね。


 イスラエルの神はイザヤにアハズ王に会いに行くように言います。ここで正しい王様と預言者の関係をお伝えしますね。国に何か異変や危険がある時は、王様の方が、預言者にアドバイスを求めに行くのが正解です。アハズ何してんねん。


 イザヤはビビるアハズ王を探します。見つけたらシバく。いやまだ二十歳の小僧(言い方、笑)です。優しく優しく扱おうと思っています。見つけると、


「自分に注意しかき乱されてはいけない。───あなたの神から自分のためにしるしを求めよ。上の高い所からしるしを求めよ!」と優しく諭します。


 王が自ら神にどうしたらいいか祈り求めなさい、神に頼りなさいって事です。アハズ王はどう反応するでしょうか?


「するとアハズは言った。『私は求めません。主を試みません』」


 なんですと! はい。イザヤのアドバイスを無視しました。さらにあろうことか、アッシリアの王ティグラト・ピレセル三世に金銀を贈り、軍事援助を要請します。いわゆるユダ王国を守ってねという賄賂です。


 目に見えない神様より、目に見える強国に頼るんですね。アッシリアは同盟に同意します。そしてシリア軍を攻撃して……勝利し……帰国し……しない。


 アッシリア帝国ですよ。めちゃくちゃ強いアッシリアです。慈善事業なわけないじゃん。自国の勢力拡大が目的です。ついでにユダ王国も奪っちゃおうです。


 アハズ王のせいで最悪な状態になりました。イザヤもお怒りモードです。自分のアドバイスを無視し、顔に泥を塗ったアハズ王に裁きの音信攻撃をします。


「神は、あなたとあなたの民とあなたの父の家に、エフライムがユダから離れた日以来、まだ来たこともない日を来させる。それは、アッシリアの王だ。その日になると、神はエジプトの川々の果てにいるあのはえ、アッシリアの地にいるあの蜂に合図される。すると、彼らはやって来て、みな、険しい谷、岩の割れ目、すべてのいばらの茂み、すべての牧場に巣くう」7:17〜19


 預言者イザヤは神のお考えを伝えます。喩えで語るんですが、アハズ王に通じるでしょうか? 理解力あればいいのですが。


 アッシリア帝国の軍隊はハエとハチです。神様は自分に頼らなかった腹いせに、罰としてユダの地を隅から隅までハエと蜂に襲わせるという警告です。


 イスラエルの神様って、気が短いんですよね。自分を崇拝しない民と王様にキレると他国を用いて処罰します。


 これだけでも怖い。さらにイザヤはアハズ王にダメ出しの預言を語ります。


「その日、神はユーフラテス川の向こうで雇ったかみそり、すなわち、アッシリヤの王を使って、頭と足の毛をそり、ひげまでもそり落とす」7:20


 アハズ王はシリア軍を攻撃するためにアッシリア軍を雇いました。しかし雇ったはずのアッシリア軍が「剃る」のはユダの民です。頭の毛、足の毛、あごひげまで、つまり徹底的に攻撃するという喩えです。


 流石に「アソコの毛」には触れないんですね。知らんけど。


 その結果について、続く節にはこうあります。


「その日になると、ひとりの人が雌の子牛一頭と羊二頭を飼う。これらが乳を多く出すので、凝乳を食べるようになる。国のうちに残されたすべての者が凝乳と蜂蜜を食べるようになる。その日になると、ぶどう千株のある、銀千枚に値する地所もみな、いばらとおどろのものとなる」7:21〜22


 あら、穏やかで平和な光景ですことって思われたそこのあなた、違いますから! 残念!


 もし第三次世界大戦が起こったら……生き残った人間の争いは木の棒でみたいな感じでしょう。武器が焼き尽くされてるんです。そこら辺の木で叩き合い。笑


 生き残る人が少ないので、食料を供給するためにはほんの少数の動物がいれば十分ですよという意味です。争わずに濃い乳を手に入れることが出来ます。


 イバラだらけの土地ですけど。アハズ王のせいです。


 イザヤの預言通り、ユダ王国はアッシリア帝国と友好関係を結んだかに見えましたが、ただただ苦しい目に遭いました。


 助けてもらえるどころか、アハズ王治世の間、十二万人が殺され、二十万人が捕虜にされるという悲しい結果に終わります。


 アハズ王はダビデの都市には葬られましたが、王室の埋葬所には納められず、悪い王として名前を残すことになりました。


 イザヤの言う事を聞かなかったばかりに。預言者舐めたらいけませんね。


アハズ王のあとは、皆さまお待ちかねの良い王様が登場します。ヒゼキヤ王です。


「神が私たちと共におられる! 恐るな!」イザヤ8:10


 イザヤの希望の音信にヒゼキヤ王はどう反応するでしょうか? 「ダビデに恋して1」を読んでくださった方はご存知だと思うので、次回、イザヤ視点でお伝えします。


 小芝居なしの、リモートインタビューです。乞うご期待!

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