第61話 罪深い国民

「私は子らを養い、そして育てた。しかし彼らは私に反抗した」1:2


 イスラエルの神様、一章からいきなり半ギレです。「子ら」とはイスラエル国民の事を表しています。神様はアブラハム契約、ダビデ契約のゆえに、イスラエル国民を養い育ててきました。そして国民がどんなに罪を犯しても許してきましたね。


 もう我慢の限界でしょう。イスラエル国民はどんな状態だったのか、イザヤはその様子を書いています。


「彼らは神を捨て、イスラエルの聖なる方を不敬な仕方で扱い、その方に背を向けた。───頭全体が病んでいる。心臓も全体が虚弱になっている。足の裏から頭に至るまで、健全な所は全くない」1:4〜6


 そうです、民全体が霊的に、身体的に、精神的に退廃していました。


 王様が神ではなく、近隣の諸国家に頼った為、政情不安が続いています。役職に就く者は、賄賂によって自分を富ませています。巷では偽善が蔓延り、弱い立場の者は疲弊しています。なんか、こんな状況って昔からあるんですね。


 ソロモン王の時代は、ソロモンが神に頼って政をしていたので、経済的にも安定していて平和でした。王が変わると、国も変わる。現代も同じですね。


 貧乏な民はどうするでしょうか? 税金ばかり高くなり、国からの補償がないと、個人的には……荒れる。


 他人の物を盗みます。やってられっかと酒を飲み、酩酊状態になります。


 酩酊になると正常な判断が出来ず、性の不道徳が増えます。


 将来の不安から、神ではなく心霊術に頼る人も出てきました。


 アハズ王やウジヤ王はカナン人に影響されて、高き所で犠牲を捧げるようになりました。旧約聖書で「高き所で犠牲を捧げる」と記述があった場合、こう覚えて下さい。


 子供を生け贄として火で焼きます。偶像礼拝という罪を超えて人身供犠です。一番残酷な崇拝の仕方です。王様からして罪を犯しまくっています。最悪です。


 モレク、バアルなど異教の神に豊穣を願って犠牲を捧げるんですね。と、同時にイスラエルの神さまにも犠牲を捧げます。信仰合同です。


 本当に健全な所が全くありません。神様、キレてこう言います。


「あなた方の多くの犠牲は私に何の益になろう。雄羊の全焼燔の捧げ物や肥え太らせた動物の脂はもうたくさんだ。私は若い雄牛や雄ヤギ、子羊の血を喜ばなかった」1:11


 イスラエル国民がどんなに動物の犠牲を捧げても受け入れないという、神様の宣言です。


 罪を犯した人間が罪を許してもらうために、定期的に犠牲を捧げましたね。それを受け入れないという事は、許さない! って言ってるのと同じですね。


「あなた方が祈る時、私は目を覆う。たとえあなた方が多くの祈りをしようとも、私は聞いていない。あなた方のその手は流血で満ちている」


 各自が家で祈っても聞かないと嘆願をはねつけます。イスラエルはソドムとゴモラのように暴力や不道徳の町になってしまったんです。無法地帯です。


 もう何度も何度も警告してきました。モーセの時代からずっと、掟に逆らう者は処罰してきました。


 人間の本質は変わらないのかもしれません。信仰心は全ての人が持っているわけではないのです。祭司であっても賄賂を貰う時代です。


 神様はイザヤを通して、命令を与えました。


「悪を行う事をやめよ。善を行う事を学び、公正に裁き、虐げる人を正し、父親のいない子供の権利を守り、やもめの言い分を弁護しなさい!」


 分かってるよ、みんなわかってると思います。善を行いたくても、何をすればいいか分かっていても、自分だけ善を行うことがバカらしいんです。


───正直者が馬鹿を見る。そんなの嫌ですよね。


 自分だけ損するなんて嫌なんです。自分の家でさえ大変なのに、他人の家の福祉にまで気が回りません。そんな人間に何て声かけするでしょうか?


「さあ来るがよい、私とあなたとの間で事を正そう。たとえあなたの罪が緋のように赤くても雪のように白くなる。たとえ紅のように赤くても羊毛のようになる」1:18


 イスラエル国民全体ではなく、家族単位でもなく、個人として罪を告白し、悔い改めるなら赦すよと提案しました。神の赦しとは何かを教えてくれています。


 人生の汚点っていう言葉がありますね。過ちを犯したらその罪は汚点として、自分も周りの人も記憶に残ります。忘れたつもりでも、汚点ですから消えません。


 しかし神の赦しは緋い、紅、赤いシミは完全に落とされて、神の目から見て真っ白くなるんですね。羊毛と雪のように真っ白です。雪は神聖さの象徴ですから、清められるという事です。


 誰が見ても確認出来ないシミ。最初から無かったかのように真っ白です。


 罪と言うと黒を想像しがちですが、流血の罪を負っているので赤系なんですね。ダークファンタジー書く時、使いたいイメージです。


 今、ごめんなさいしたら、罪なんて無かった事にするよ、真っ白くするよって言われたらどうしますか? 


 あっ、今、私の勤務先のクリーニング屋さん、「染み抜き無料キャンペーン」やってます。夏物限定なんですけど、ほとんどシミ取れてます。


 気がついたら付いてたってシミありませんか? ミートソースとか、カレーとか。何回も着てると黄変シミになっていたり、不注意でジュースやワインをこぼしたり……。シミに応じて使う薬品が違うんですよ。キレイになります。


 中には染み抜きのプロでも落とせないシミがあるんです。


 人間の罪も同じですね。気がついたらとか、不注意とか。わざと付ける人は稀だと思います。


 神様はきっと人間の不完全さを考慮してくれてるんですね。しかも無料で、人間と違って100パーセント落としてくれるんです。


 こんな寛大な神、憐れみ深い神の元に行く民はいるでしょうか?


次回、その点をお伝えいたします。乞うご期待!


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る