第57話 使徒ヨハネ ヨハネの手紙(警告)

 ヨハネは手紙を三通書いた。第一、第二、第三の手紙としている。


 書かれた年代は西暦九十八年頃という見方と、西暦七十年前という二つの意見がある。なぜなら西暦七十年はエルサレムが滅びたにもかかわらず、ヨハネはその事に一切触れていないからだ。


 いずれにしても、ヨハネの手紙は発足間もないクリスチャン会衆への励ましと警告になった。


(今回少し堅いので興味のない方はスルーしてください。あっ、それでも応援ハート♥️はポチッとしてくださいね。ハナス、あなたの愛は受け取ります)笑


 ヨハネが手紙を書いた目的をもう少し具体的にいおう。①クリスチャン同士がもっと交わりを持つように、②喜びで満ち溢れるように、③罪を犯さないように、④偽りの教えに惑わされないように、⑤永遠の命を確信するように……この五点だ。


 ヨハネは救世主イエス・キリストを実際に見て、声を聞き、教えを受けた者として最後の務めを全うするために手紙を書いた。師イエスの預言の言葉「偽預言者が現れて多くのクリスチャンを真理から引き離す」の成就を目の当たりにしたからだ。最後まで生き残ったヨハネでしか書けない手紙。


『yes, the life was made manifest,and we have seen and bearing witness and reporting also to you the everlasting life that was with the Father and was made manifest to us 』ヨハネによる手紙第一1:2


 永遠の命について証しする事、明らかにする事。いわゆるこれが使徒ヨハネのマニフェストである。


 また手紙の中でヨハネは光vs闇、愛 vs憎しみ、そして真理vs偽りを書いている。まず闇と憎しみ、偽りをもたらすものは何か? 第一五章十九節でその源を明らかにしている。


『全世界は邪悪な者の支配下にあります』

 邪悪な者とは、最初からの蛇、地上に投げ落とされた龍で象徴されている悪魔サタンだ。


 この邪悪な者は、支配下にある人間を操って、クリスチャンを迫害したり真理から引き離すので、洞察力を持ち、真理の神の霊に頼るよう、ヨハネは勧めている。


 サタンに操らた人間は何を持ってクリスチャンを惑わすのか? 資料によるとグノーシス主義、ケリント主義を教会にも蔓延らせる事によってだ。


 グノーシス主義とは一世紀から二世紀に盛んになった思想運動のことで、人間は霊知を持つ事によって救済される、簡単にいえば、キリストの受肉を否定するギリシャ哲学の事。イエスが肉となって来たという真理を否定している。


 ケリント主義も神の霊がイエスという人間の身体を乗っ取ったというものである。イエス・キリストの贖いの犠牲はなんの価値もないという反キリストである。


 さらに、グノーシス主義は、霊を善とし、肉や物質は悪とみなす霊的二元論で、肉はどのように用いても霊に対する影響はないという思想である。


 たとえ肉の体が罪を犯しても、霊には影響ないのだから、食欲、性欲を好きに満たしてもいいという耳をくすぐる教えに多くのクリスチャンは魅力を感じた。


 そこでヨハネは危機感を抱き、クリスチャン会衆に警告の手紙を書き、回覧された。


『世も、世の中のものも愛してはなりません。世を愛する人は、天の父を愛してはいません。世の中のもの、すなわち罪深い欲望、見る事から生じる欲望、持ち物を見せびらかす事は皆、父から出るものではなく、世から出るものだからです』


『今や、多くの反キリストが現れました。このことから今が終わりの時期だと分かります。───イエスがキリストである事を否定する人こそ反キリストです』


『誰にも惑わされてはなりません。正しい事を行い続ける人は、イエスが正しいのと同じように正しいのです。罪を犯し続ける人は悪魔から出ています。神から生まれた人は罪を犯し続けません』


『キリストの教えに従わない人があなたたちの所に来たら、家に迎え入れてはなりませんし、挨拶の言葉をかけてもなりません。挨拶の言葉をかけるなら、その人の悪い行いに加わる事になります』


 徹底的に反キリストを避けるように警告している。第三の手紙は第一、第二と違ってガイオという人物、個人に宛てた手紙である。


 敵はクリスチャン会衆外だけでなくクリスチャン内にも現れるという警告である。ヨハネは会衆内の人物を名指ししている。


『私は会衆に幾らかの事を書き送りました。しかし、会衆で一番上に立とうとしているデオトレフェスは、私たちに敬意を払わず、何も聞き入れようとしません。

彼は私たちについて悪意のある噂を広めています』


 使徒ヨハネはクリスチャン一人一人が悪を退け、真理から離れないように、あらゆる事を考慮に入れて手紙を書いた。


 さすがイエスの愛された弟子、十二使徒、抑制力は半端ない。


 しかし、ただ警告を与えただけではない。クリスチャン一人一人の信仰を強め、神の愛のうちにとどまるための秘訣も書いている。次回その点について触れたいと思う。


 あー、ちゅかれた。次回、いつものおふざけハナスに戻ります。



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