第50話 使徒ヨハネ 雷の子⚡︎
「イエスは山に登り、自分が望む人たちを呼び寄せた。そして12人を選び、使徒たちと呼んだ。自分に同行させ、伝道に遣わし、邪悪な天使を追い出す権威を与えるためである」マルコによる書 3章11〜12節
選ばれた十二人の使徒達って何するの? って疑問に思われた皆様こんにちは。
イエスに同行して、伝道して、悪霊に憑かれた人を癒すんですって。怖。
イエスの弟子は教えを受けるだけなのに対して、使徒は権威が与えられていたんですね。もう一度言いますね、奇跡を行う力ではなくて悪霊を追い出す権威です。
この時、イエスはペテロとヨハネ、ヤコブだけに別のあるものを与えました。ペテロは岩です。ヨハネとヤコブにはボアネルゲスを与えました。
ボアネルゲス? 何、それって美味しいの? いえ、これはアラム語です。英語ではsons of Thunder 。日本語では雷の子たちです。つまりあだ名です。ニックネームです。ハナスはdevanezum。ウに点々。
ヨハネとヤコブはツノが生えていてシマシマパンツ履いて、ウクレレ持ってコントでもやっていたのでしょうか? あっ、ド◯フの見過ぎですね。
イエス様は人間一人一人の性格や可能性をご存知です。ペテロ君はどっしりとした気質です。ご自分の死後、クリスチャン会衆の岩となる事を期待して付けたあだ名です。比喩的な意味で王国のカギを渡されました。信頼度ナンバーワン。
ヤコブとヨハネはどうして「雷の子」なんでしょう? よく言えば熱意があって真っ直ぐな気質。悪く言えば血気盛んで荒々しい気性です。短気です。怒りっぽいんです。
そんな二人の雷っぷりを示す二つのエピソードを紹介しちゃいますね。
使徒たちには悪霊を追い出す権威が与えられていると先程お伝えしましたね。
ある時、ヨハネはイエスにこう言います。
「ラビ、ある人があなたの名を使って悪魔を追い出していたので、私たちはやめさせようとしました。私たちと一緒にあなたに従っていないからです」
そうなんです。ヨハネは使徒だけに与えられた権威を他の弟子が行使している事に腹を立てたんです。排他的です。それを自慢げに話しました。
「オイ、コラ! 誰の許可があって悪霊追い出してんねん! やっていいのはワシら十二人だけやぞ! このインチキ野郎。さっさと行けや、ボケ」
内心、雷のようにキレまくっていたんですね。イエスはヨハネに言います。
「やめさせてはなりません。あなた方に反対しない人はあなた方の味方です」
たしなめられました。さすがイエス様。ヨハネの怒りを鎮めると同時に味方という言葉を使って安心させました。イエスに同行しなくとも信仰を持った仲間である事を教えられました。良かったね、メンツ保って。上から目線。
またある時、サマリア人の村を通った時の事です。露骨にイエスが拒否られました。元々ユダヤ人とサマリア人は仲良しではありませんが、メシアであるイエスが受け入れられないのを見て、ヨハネはキレます。キレてこう言います。
「主よ、私たちが天から火を下して、彼らを焼き滅ぼしましょうか?」
サマリア人焼死全滅提案です。しかも自分がやるって言ってます。ヨハネがイエス様を思う気持ちが強かったのは確かです。だけども、人殺しするって本末転倒。
ヨハネの自尊心が、プライドが傷ついたんでしょうね。よくあるヤクザ映画みたいです。親分を馬鹿にした相手を、子分がキレて撃っちゃう感じです。
ヨハネはここである預言者の真似をしようとしたんです。誰だと思いますか?
孤高の預言者エリヤです。エリヤは神に敵対する五十人隊長とその部下を焼き殺しました。天から火を呼び下して、二部隊合計100人を焼き殺しました。
ヘブライ語聖書に精通していたヨハネは、その事が頭をよぎったのでしょうね。兄ヤコブもやる気満々。イエスはこの時も二人を叱りました。撃沈。
雷の子たち───まさに二人にぴったりなあだ名ですね。瞬間湯沸かし器です。どうしてこんな子に育ったんでしょう? 親の顔が見たいと思いませんか? 笑
ここだけの話、母親サロメの甘やかしエピソードを教えちゃいます。実はある資料によるとサロメはマリアの姉妹だと言われています。ですからイエスとサロメの関係は叔母と甥っ子。イエスとヨハネは従兄弟。コネを使ったエピソードです。
十二使徒はいつも誰が一番偉いかの階級争いをしていました。サロメはイエスに近づきこう言います。
「私のこの二人の息子があなたの王国で、一人はあなたの右に、一人は左に座るようにお言葉をください」簡単に言えば、大臣にしてくれませんか。
親心でしょうが、それじゃダメじゃんです。ヨハネもヤコブも母親頼み。甘えています。イエスはキッパリと断りましたが、他の使徒たちの耳に入りました。残りの十人は激怒します。オマイら、同じ穴のムジナじゃないか! 不完全案件。
雰囲気の悪い中、イエスと使徒十二人の宣教旅行は続きます。ヨハネはサロメママから離れて変化を遂げる事が出来たでしょうか?
次回、「イエスの愛に触れる」エピソードをご紹介いたします。
ヨハネがんばれー!
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