第45話 洗礼者ヨハネ 荒野で叫ぶ& バプテスマ

 洗礼者ヨハネが何か叫んでいます! 聞こえますか? 

「筋肉コンテスト始まるよー!」しつこい。

「わらび〜餅! 甘くて冷たいわらび〜餅!」もうそんな季節かしら?


 無駄に三行使ってしまった。反省。皆さま耳を傾けて下さい。


「悔い改めなさい! 神の王国は近づいたからです!」正解。そうなんです。! と叫んでいます。荒野で一人で叫んでいたら怪しいですが、ヨハネの周りには群衆がいます。みんな洗礼を受けたくて集まっています。


 そもそもってなんでしょうか? キリスト教入信の際に行われる儀式の事です。簡単に言うとイエスを信じてクリスチャンになるという儀式です。全身を水に浸したり、頭部に水をかけたり宗派によって様々です。ギリシャ語ではバプテスマ。施す人の事をバプテストと呼びます。


 ヨハネが施していたバプテスマは、全身をヨルダン川に浸すので、浸礼しんれいと呼ばれています。どうしてヨハネはバプテストになったのでしょうか? またいつから洗礼者になったのでしょうか?


 まず、時代背景を確認しましょう。ルカによる福音書三章一節です。


「皇帝ティベリウスの治世の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの国主、その兄弟フィリポがガリラヤ湖北東の国主、ルサニヤがローマ行政区の国主、アンナスとカヤファが大祭司の頃、ゼカリヤの子ヨハネは


 荒野でワイルド生活を送っていた時に神様から言われたんですね。ヨハネは喜んで引き受けた事でしょう。エリヤの真似して待ってたんですから。


 ではいつから? 世界史の好きなあなたならご存知かもしれません。皇帝ティベリウスの治世の第十五年は西暦二十八年九月から二十九年九月です。資料によると業を開始したのは二十九年春頃だとありました。イエスより半年お兄さんですから、年齢も考察すると、三十才頃でしょう。今年、米津玄師さん三十才。


 では、ヨハネの施すバプテスマの意味は? 当然ですが、メシア到来はこれからです。イエスを信じてクリスチャンになる洗礼ではありませんね。


 さっきツラツラと出てきた名前を思い出して下さい。ヘロデとは幼子イエスを殺せと命じたヘロデ大王の息子、ヘロデ・アンティパスの事です。まだユダヤ人はローマ帝国の支配下にありました。残念。ユダヤ人の多くがローマの圧政に苦しんでいました。


 人間、強い者には巻かれます。ユダヤ人は霊的にも道徳的にも堕落していました。偶像崇拝、淫行。ローマに媚びを売るため、取税人も兵士も同国民を痛めつけていました。何をしても神に裁かれないと思っていたんです。めでたい。


 ヨハネは民衆にこう言います。ハナスが要約します。口悪いです。


「まむしの子らよ、今までの生き方を悔い改めろ! アブラハムの子孫だからって誇るんじゃねぇぞ! 契約の民だからってみんな救われると思ったら大間違いだ! 悔い改めにふさわしい実を結べ! 下着を二枚持っている者は、一つも持たない者に分け与えろ! 税も多く取り立てるな! 力ずくで金をゆするな。

無実の者を責め立てるな! 自分の給料で満足しろ! さもなければ滅びるぞ。

自分のしてきた罪を悔い改めろ……悔い改めろ……悔い改めろ!」


 ワイルドだろ。さすが最後の預言者です。西暦七十年のエルサレムの滅びが近づいているんです。緊急感を持って伝道します。オッさん、オバさんを汚ない川に浸しまくります。言い方。神様ごめんなさい🙏


 しかし、ワイルドなヨハネがめちゃくちゃ謙遜になる日が来ました。


 ついに、ついに来ましたー! 大工のイエスがヨルダン川に来ました。


「自分はその方の靴のヒモを解く値打ちもない、メシアなる方は私よりもさらに力ある方。私は水でバプテスマを授けるが、その方は聖霊と火でバプテスマをお授けになります!」


 もうめちゃくちゃ緊張しているヨハネ。イエスは悔い改めるような悪を一度も行っていません。神のご意志を行うために来た事を示す目的で、ヨハネの所に来たのです。


 ヨハネ頑張れ。震えて溺れさせないようにね。

 はい、上手に出来たね。上から目線。


 なんという事でしょう! イエスが水から上がられた時、天が開けて聖霊が鳩🕊の形でイエスの頭上に降りてきました。そして神さまの声がします。


「あなたは私の愛する子、私はあなたを是認します」


 ヨハネも群衆も驚いたでしょう。メシア到来です。この場面が描かれている絵画は多いです。鳩と一緒に天使が舞い降りる絵もあったり、浸礼ではなく、お皿で頭に水をちょろっとかけている絵もあります。


 いずれにしても、洗礼者ヨハネは先駆者として大役を果たしました。


 お疲れ。イナゴと蜂蜜用意しておくね。イナゴは丸焼きが美味しいよ。


 ヨハネはその後もバプテスマを施し、伝道しました。イエスも近くで同じ業を行います。嬉しかったでしょうね。憧れのイエスです。


 ヨハネにも弟子がいます。弟子は少し不服です。ヨハネ師匠の方が偉いと思って文句を言うと、ヨハネはこう答えました。


「私のこの喜びは満たされているのです。あの方は増し加わってゆき、私は減ってゆかねばなりません」ヨハネ(使徒)による福音書三章三十節


 どういう意味でしょうか? 預言ですか。やな予感がします。

 次回この通りになります。:(;゙゚'ω゚'):


 ヨハネがんばれー!


 


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