第44話 洗礼者ヨハネ ナジル人ですってよ!
ゼカリヤはヨハネ誕生八日目に口が利けるようになりましたね。実はゼカリヤも立派な祭司です。ヘブライ語聖書の知識はたっぷり持っています。そこで神へ祈りの中でこんな預言の言葉を残しました。
───ほめたたえよ! イスラエルの神である主を。主はその民を顧みて贖いをなし、救いの角を、我らのために、僕ダビデの家に立てられた。
はい、これは誰についての預言かわかりますね。あがないと救いの角がキーワードです。
ダビデの家系に生まれるメシア、イエス・キリストの事です。マリアのお腹の子供は神の子であるって信じていたんです。その到来を待ち侘びていました。
ゼカリヤは言葉を続けます。
───幼児よ! あなたもまたいと高き方の預言者と呼ばれよう。主のみ前に先立って行き、その道を備え、神の民に、罪の赦しによる救いの知識を与えるためである。
はい、この言葉は自分の子供、ヨハネに関する預言です。自分の子供はメシアの到来と、どうしたら救いを得られるかを人々に宣べ伝える預言者になるそうです。
ヨハネはイザヤ、エリヤ、エレミヤ、アモス、マラキといった神の預言者の最後の者として任命されたんですね。生まれる前から決められていました。
天使ガブリエルの言葉を覚えていますか? ぶどう酒はNGでしたね。つまりサムソンと同じナジル人として生きなくてはいけません。
メシアを待ち望むイスラエルの民の、心の準備を整える者としてこの世に生まれたんです。『先駆者』とも呼ばれています。逃げられない運命です。
マリアのお腹の子は神の子、なんでうちの子供は先駆者なの!
文句は言えません。神様が決めた事です。母親エリザベトも承知で産んだのです。
ヘブライ語聖書のイザヤ40:3 とマラキ3:1の二箇所は洗礼者ヨハネについての預言です。ゼカリヤはこの言葉を成就させる息子を誇らしく思った事でしょう。そこにはこんな事が書かれています。
『荒野で叫ぶ声がする。「神の道を整えよ! 私たちの神のために砂漠を通る真っ直ぐな街道を造れ」』イザヤ40:3
昔、東洋では王や支配者が旅をする時は先駆者を遣わしました。何のために? 大きな石を取り除かせたり、土手道を築かせるためです。道を整えるという例えを用いています。
ヨハネは事あるごとに、両親からそうするように教えられたでしょうね。イスラエルの民を悔い改めさせ、メシアの救いを受け入れるように道を整える事を。
ヨハネは自分の役割を受け入れたでしょうか?
「さて、幼子は成長し、その霊は強くなり、イスラエルの民の前に公に出現する日まで荒野にいた」
何と従順でしょう。荒野でスタンバイ。しかもエリヤを役割モデルとしてラクダの毛皮を着ています。さすが最後の預言者と呼ばれた男! ワイルドだろ。
イナゴを食べ、野の蜂蜜を食糧としています。さすがにエリヤの真似をして、ワタリガラスからの肉は食べていません。
そんな洗礼者ヨハネ。罪の悔い改めの
では、待ち人イエスはどうしているのでしょうか?
「幼子は強くなり、知識に満ちていった。神の恵みがその上にあった」
はい、イエスもマリアとヨセフの元でスクスクと成長していました。
イエスはご存知の通り、大工の息子です。筋肉たくましい青年。
さぁ、荒野で鍛えたヨハネと、力仕事で鍛えたイエスの筋肉バトル。
マッスルコンテストがヨルダン川で行われます。みなさま掛け声をどうぞ。
「デカイ!!」「ナイスバルク!」「キレてる、キレてる!」「ナイスカット」
「仕上がってる!」「ナイスプリケ……イタッ……ツ」
調子に乗っていたハナスの頭上に何か落ちました。
ワタリガラスがペッした生肉です。神様ごめんなさい🙏
次回、洗礼者ヨハネ、イエスにバブテスマする。今度こそ。
乞うご期待。
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