第41話 アロンの死 and モーセ お疲れ様。

「あなたたちは、私に信仰を示さず、イスラエルの民の目の前で私を神聖なものとしなかったので、私が与える土地にこの会衆を連れて入る事はない」


 やばい。岩を打っただけでなく、私たちが水を出すって言った事も怒ってますよ。神様の力で水が出たって言い直さなきゃ。モーセ。時すでに遅し。


 宣言されてしまいました。モーセとアロンは一度の失敗で、約束の地カナンに入る事は許されません。指導者交代を言い渡されたんです。


 モーセとアロン、すっごく落ち込んだと思います。文句を言う民に怒って衝動的に言ってしまっただけなのに。


 悪い時に悪いことは重なります。落ち込みながらカデシュを経つ時に、アロンの死期宣告があります。モーセ泣いちゃうよね。


 もうすぐアロンが死ぬので、ホル山にアロンの息子のエレアザルを連れて登れと指示がありました。


 アロン、思い起こせば三歳の時、弟が生まれましたね。ナイル川に流された弟。お姉ちゃんミリアムが助け、成長を見守る事が出来てよかったね。


 でも、四つになったモーセは、宮殿に連れて行かれました。アロンは悲しかった事でしょう。ん? 贅沢三昧の弟が羨ましかったかしら?


 モーセと再会したのは、八十代。抱き合って喜びました。ファラオと対決。

口下手なモーセに代わって話しましたね。いつも一緒でした。


 神の奇跡をたくさん見たり、金の子牛を作って怒られたり。杖にアーモンドの花が咲いて、大祭司としてモーセの右腕となったアロン。


 お別れの時が近づいています。ホル山頂に着くと、アロンの職服が脱がされます。息子に大祭司をバトンタッチ。約束の地には入れなかったけど、幸せな一生だったのではないかしら? 


 アロンはそこで静かに息を引き取ります。民は三十日間喪に服しました。



 


 モーセのメンタル大丈夫でしょうか? 相次いで姉と兄を亡くし、約束の地に入れないと言われて……私なら耐えられません。


 しかし、モーセは頑張ります。命のある限り、指導者として任務を全うしました。民にしっかりと神のおきてを守らせました。

 

 後継者がヨシュアと決まりました。モーセが育てた後継者です。勇気もあり、聡明です。モーセに似て謙遜で従順な戦人です。とても嬉しかったでしょうね。


 神はモーセの死期が近づくと、ネボ山、エリコに面するピスガの頂上に登るよう命じます。その山頂からは、ギレアデからダン、ナフタリの全土、ネゲブとヨルダン地域全てを見渡せます。神はモーセに言います。


「これが、私がアブラハム、イサク、ヤコブに誓って、子孫に与えると言った土地である。私はあなたが自分の目でそれを見るようにしたが、あなたはそこに渡っていかない」


 モーセ、百二十才。けれど目の力は衰えていません。約束の地に入れなくても、自分の目でしっかりと見る事が出来ました。神様の憐れみですね。


 民はヨシュアの指導の下、やっと乳と蜜の流れる地、カナンに入れるんですって。安心したね。もう思い残す事はないでしょうね。グスン。ハナスが泣く。


 モーセはそこで息を引き取ります。モーセの遺体は神が葬りました。モアブ地方の谷だそうです。お墓はありません。モーセの遺体が偶像崇拝の対象にされないように配慮されたのです。


 モーセ、お疲れ様でございました。本当に、ほんとうにさよならです。


 強情なイスラエル国民をここまで守ってくれて、導いてくれてありがとう!



 パパもママも、ミリアムお姉ちゃん、アロンお兄ちゃんが待っているよ。


 ゆっくり休んで下さいね。モーセお疲れ様。

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