第33話 不満たれブー& 天からのパン

 さあ、いつもでも踊って騒いでいてはいけません。モーセはイスラエル国民を出発させました。しかし、なかなかお尻の重い民です。心の声が聞こえます。


(もう少し待てば、エジプト人の水死体がもっと浮かんでくんじゃねえ)

(金や銀の腕輪や指輪してたよね? 奪ってからでよくない?)

(なんなら、エジプト征服しちゃおうぜ! こんだけ死んだんだしさ)


 喉元過ぎれば熱さを忘れるイスラエル人。分かるよ、分かる。けど、カナンは約束の地です。みんな頑張って進もう。モーセはお尻を叩きます。家畜の方が従順。


 三日間、荒野を進みます。無酵母パンを食べながら、進みます。あのパン、口の中がパッサパサになるのよね。クラッカーより固いんです。水分ないと誤嚥です。


 シュルの荒野では水を見つけることができませんでした。マラまで来ましたが、水が苦くて飲めませんでした。塩辛いんですね、ここの水。知らんけど。


「民はモーセに対して不満を口にし始め、『何を飲んだらいいのか』と言った」


 イスラエル人はモーセに不満たれブー。神様に直接言えないので、指導者モーセに不満をぶつけます。社長に直接言えない時、中間管理職に言うようなもの。


 神様は一本の木をラマの水に投げ込むように指示します。モーセの手垢がついた杖じゃなくて良かったね。するとすぐに水は美味しくなり、飲めるようになりました。水をたくさん飲むと、イスラエル国民は満足。お礼くらい言いなさいよ。


 その後、エリムに到着。ここは12の泉と70本のヤシの木がありました。聖書の中で、7と12は完全数を表しますね。完璧な休憩所って事です。一休み。


 エリムで数日間過ごした後、30キロ南へ進みシンの荒野に到着します。エジプトを出てからちょうど一ヶ月経ちました。次に不足した物は、食べ物です。


 嫌な予感がしますね。今度はモーセだけじゃなく、アロンにも不満をぶつけます。モーセもアロンもおじいちゃんなんです。優しくしてあげて欲しいところですが、嫌味と不満をぶつけてきます。


「エジプトの地で肉鍋のそばに座り、パンを腹一杯に食べていた頃に、神の手にかかって死んでいれば良かった。あなたたちは私たちをこんな荒野に連れ出して、この全集団を飢え死にさせようとしている」16:3


 文句たれブーのそこのおじさん、腹出てませんか? 奴隷でこき使われてた時より、今の方が楽でしょ? 不安なんですよね、みんな。奴隷時代の方が、生活の保証はありました。今、荒野にいるんですものね。狭いながらも家族だけの家があった方が安心ですね。たまに食べていた肉が恋しくなったんでしょうか?


 モーセはプチ怒です。何かが不足すると不満たれブー。満たされても礼も言わず……また何かが不足すると文句たれブー。いい加減にしなさい!


 神様も少しイラッとしたに違いありません。モーセに告げます。


「私は今、あなたたちのために天からパンを降らせる。民は各自、外に出て毎日自分の分を集めるべきである。こうして私は民を試し、私の律法に従って歩むかどうかを試みる。六日目には、民は他の日に拾う量の二倍を集め、食事を準備する」16:4〜5


 モーセに対する不満は自分に対する不満だと受け取ったんでしょうね。神様もプチ怒です。これから言うことを聴くか聴かないかのテストもするんですって。


 モーセは、夕方にはがやって来て宿営を覆う事と、天からパンが毎日降る事をイスラエルの全員に伝えました。


 うずら? 鳥です。肉です。肉が食べたいって呟いてましたね。すぐに捕まる高さを飛来させるから、狩りをしなさいって事です。


 天からパンってなんですの? まさか、鴨がネギ背負ってくるみたいに、うずらが運んで来るのかしら? くちばしでぺっは衛生的にお断りです。


「朝には宿営の辺り一面に露が降りた。露が蒸発すると、荒野の地面には薄くて細かいものが広がっていた。霜のように細かかった」


 天からのパンです。粉みたいです。みんな「これは何だろう?」と言いながら、自分が食べられる量だけを集めます。一人当たり、一オメルです。2•2リットルくらいですね。それはコエンドロの実のように白く、蜜を入れたウエハースのように甘い食べ物です。


 その正体は樹液、カイガラムシの排泄物、果実、キノコなど色んな説がありますが、真相は分かりません。排泄物だったら嫌だよ。


「これは何だろう?」ヘブライ語ではマン•フーと言います。だからこの食べ物の事をと呼んだんですね。


 イスラエル人は荒野にいる間、このマナを主食にしました。まさに天からのパンです。毎日降るから新鮮です。


 しかし、どの時代もずるい人間っていますね。食べきれない分を取っておく人がいました。言われた通りにしないと、マナは腐り、ウジがわきます。食べようとしたらウジがわいていた。キャと悲鳴をあげたずるい人、神様からの罰です。しかし、六日目に取った七日目の分は新鮮なままです。神様の奇跡ですね。


 この七日目の事を安息日と呼びます。いわゆる仕事をしなくていい日曜日。


 さぁ、食べ物の心配もなく、シンの荒野からレフィディム経由で、シナイ山へと向かいます。シナイ山ではあの有名なワードが出てきます。


乞うご期待! 


 




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