第30話 十の災厄 エジプト軍に追い詰められる!

「以下は過ぎ越しに関する法令である。───あなたたちの間に住んでいる外国人は、過ぎ越しを祝いたい場合、その家の男子全員が割礼を受けなければならない。割礼を受けていない人は犠牲を食べてはならない」出エジプト記12:43


 モーセを通して神様から発表がありました。非イスラエル人に対してです。割礼を受ければ、イスラエル人として救ってあげるねっていう法令です。


 割礼に拘りますね。どんだけ、ちん○んにこだわる神様なんでしょう。しかし、エジプトから出るために、みんなちん○ん処理しました。偉いですね。


 さぁ、いよいよ、カナンへ、約束の地へ向かいます。みんな準備しています。


「さて、ファラオが民を去らせた時、フィリステア人の土地を通る方がはるかに近道だったが、神は民をそちらに導かなかった。神は民に回り道をさせ、紅海の荒野を通らせた。イスラエル人は戦闘隊形を組んでエジプトから出て行った」


 実際、エジプトからカナンの地に至るルートの最短コースは、ペリシテ人の国を北上する事でした。そのルートなら十日で着きます。


 しかし、その土地にはエジプトの砦があり、戦いながら行かなければいけません。危険です。そこで戦いを見て、エジプトに帰ってしまう人もいるかもしれません。怖いですもの。遠回りでもご安全に。


 モーセはイスラエル人に戦闘隊形を組ませて、紅海に沿う荒野を進みます。


 戦闘隊形を組んでいるからといって、戦をするわけではありません。本隊に前衛と後衛、両翼という五部編制の飛行機みたいな形で進みます。そこには若い男子を歩かせ、女性や子どもを真ん中にします。しかも部族ごと、家族ごとです。イスラエル人は組織、秩序が大好きです。


 モーセはちゃんと「ヨセフの骨」を持っていきます。ご先祖様、ヨセフの遺骨を約束の地に葬る使命があります。


 スコトから出てエタムに到着。まずここで宿営をはります。


「神は民の前を進んだ。昼は雲の柱で道案内し、夜は火の柱で照らし、民が昼も夜も進めるようにした。昼は雲の柱が、夜は火の柱が民の前から離れなかった」


 荒野で迷わないように、雲の柱と火の柱で導くって、優しいですね。


 しかし、荒野の端エタムに到着したあと、引き返してピハヒロトの手前、海のほとりに宿営を張るように命令が来ました。

 

 これは神さまのファラオに対する罠でした。イスラエル人は道に迷って荒野から出られなくなっていると思わせる罠。ファラオは奴隷イスラエル人を去らせた事を後悔して、追いかけてくるはずだと考えたのでしょう。


 神様はファラオの強情さ、執念深さをよくご存知でした。


 ファラオは見事に神様の罠にかかります。特別の兵車六百両とエジプト全土の兵車を集めて、戦士たちに追いかけさせます。もちろん、ファラオも。


 騎兵隊、兵車、歩兵隊はピハヒロトのそばの海辺で宿営しているイスラエル人に追いつきました。イスラエル人絶体絶命。逃げる場所がありません。


 イスラエル人はエジプト人が迫って来たのを見ます。ファラオがめちゃくちゃキレているのも見えたのでしょうか? 怯えて、モーセに叫びます。


「エジプトに葬る場所がないので、荒野で死なせるために私たちをここに連れてきたのですか。何ていうことをしてくれたのです。───荒野で死ぬよりエジプト人に仕えている方がましです」


 ガクガクぶるぶる。最強のエジプト軍が迫ってきました。イスラエル人はモーセに文句、皮肉を大声で言います。


 イスラエル人には信仰心が欠けていますね。今まで神様の奇跡をいくつも見てきたのに、今回も助けてくれると思わなかったのでしょうか! 


 けど、激おこエジプト軍団を見たら、私もビビるかも。このガクブルしている民にモーセは何て答えるでしょうか?


 モーセだって怖いはずです。子どもを殺されてるファラオ、何をするか分かりませんもの。殺されるかもしれません。


 モーセガンバレー!

 



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