第29話 十の災厄 長子が殺される

「真夜中になって、主は王座に座るファラオの長男も、牢獄にいる囚人の長男も、エジプトの長男を全て打ち、家畜の初子も全て打った」12:29


 来たー! エジプト全土の長男殺人事件発生。ファラオの息子も、犯罪者の息子も身分関係ありません。まさか家畜の初子まで。とばっちり。


「ファラオと全ての家来をはじめ、全てのエジプト人は、その夜起き上がった。エジプトの間に激しい泣き叫びが起こった。それは死人のない家がなかったからである」

 

 真夜中です。何か異変を感じた家の明かりがポツリポツリと点いて、その出来事を確認した時、泣き叫びが聞こえたんでしょう!


 同じ布団で寝ていた母親は、我が子が息をしていない事に驚いたでしょう。医者の元に駆けつけようと外に出たら、お隣さんも息をしていない長男を抱いていた。パニックパニック。


 宮殿に行ってみましょう。ファラオの腕にぐったりしている子どもが。まぁなんていうことでしょう! ファラオも泣き叫んでいます。強情なファラオだって人の子です。親です。大事な長子が殺されたんです。次の王様です。


 涙が乾くか、乾かないうちに、モーセとアロンを宮殿に呼びつけます。


「出て行け! お前たちも他のイスラエル人も、私の民の間からいなくなれ! 行って、お前たちが言う通り神に仕えよ! お前たちが言う通り、羊も牛も連れて行け! 私のためにも神に祝福を求めよ!」12:31〜32

 

 めちゃくちゃキレてます。怒鳴っています。命令してます。とにかく早くエジプトから出て行けって喚いています。家畜は置いて行けっていう妥協案はもうありません。そんな事言ったら、またエジプトの家畜が殺されそうです。


 もうモーセとイスラエル人と関わりたくないんです。しかし、ちゃっかり自分の祝福は願っています。これ以上逆らえば、自分の命が危険だと思ったのね。


エジプト人の反応はどうでしょう。彼らも、イスラエル人を急かし始めました。


「それで民は、パン種を入れる前のパンの生地とこね鉢を服でくるんで担いだ。イスラエル人はモーセに言われた通りに、エジプト人から銀の飾り、金の飾り、それに着物を求めた」12:34〜35


 蕎麦屋スタイルのまま、無酵母パンとこね鉢を担ぎ、エジプト人からお土産もらって出エジプトだー!


 やっと、やっとこの日が来ました。長かった。エジプト人の奴隷になって四百三十年です。


「イスラエル人はラメセスからスコトに向けて出発した。徒歩で歩く男性は約六十万人で、他にも子どもたちもいた」


 ひと家族四人で計算しても、二百万人くらいでしょうか。大移動です。


 奴隷生活から解放されます。やっと自由の民になれるんです! やったね。良かったね。モーセもアロンも嬉しかったに違いありません。


 羊も牛もヤギもいます。安心。けれど、あれ? あなた誰?


 実はこの時、イスラエル人以外にも一緒に来た人たちがいました。エジプト人もいます。他国の人たちがなんでいるねん!


 イスラエル人びっくり。そして神様もびっくり。まあまあ、まあ。私の言葉に従ったし、私を神だと認めたんだと悪い気はしなかったでしょう。


 次回、一緒に出エジプトした民のために、神様から発表があります。


 モーセとアロン、お疲れ様でした。もう一仕事頑張れー!

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