第20話 エジプトで成長する。
なんとか三ヶ月間は見つからなかった赤ちゃん、モーセ。この時はまだモーセという名前ではありません。両親がなんて呼んでいたかは、分かりません。
三ヶ月を過ぎると、泣き声が大きくなります。エジプトの見廻り隊に見つからないように、隠すの大変だったでしょう。
「隠しきれなくなった時、パピルスの
ヨケベドママは、ファラオの命令を守りました。男の子をちゃんと、ナイル川に投げ込みました。籠に入れてはならないって言ってないですものね。
そして、ノアの箱船で触れた通り、この籠は防水加工してます。母親の愛ですね。水漏れしないようにしています。
あっ、言うの忘れていましたが、出エジプト記を書いたのも、モーセです。聖書の創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の五つをモーセ五書と呼びます。いわゆるトーラーですね。
モーセは箱船の防水加工と、自分が入れられた籠の防水加工に、同じ言葉を使っています。「
「その子の姉は離れた所に立って、弟がどうなるかを見ていた」
お姉ちゃんミリアム再登場です。ママはしっかり者のお姉ちゃんに、赤ちゃんがどうなるかを見届けさせたのでしょう。三歳のお兄ちゃんアロンは、おうちでお留守番。
「ファラオの娘がナイル川に水浴びをしに来た。付き人の女性たちはナイル川のほとりを歩いていた。ファラオの娘は葦の間にある籠を見つけ、すぐに女奴隷にとって来させた」
なんていう事でしょう。ちょうどファラオの娘御一行様が水浴びタイム。実はヨケベドママはその事を知っていたのかもしれませんね。
籠のフタを開けてビックリ! 赤ちゃんが入っています。泣いています。ファラオの娘はかわいそうに思いました。めちゃくちゃ可愛いい赤ちゃんを発見したのです。ブッサイクなら、チャポーン! 知らんけど。母性愛の強いファラオの娘グッジョブ! 「これはヘブライ人の子です!」と言います。
その様子を見ていたミリアムお姉ちゃん、すぐにファラオの娘に言います。
「この子に乳を飲ませるために、ヘブライ人の乳母を呼んできましょうか」
ミリアムお姉ちゃんもグッジョブ。ここで余計な事は言いません。
「あのね、私のお母さんがね、弟をナイル川に流したの。だってファラオがイスラエル人が殖えると困ってさ、殺せって鬼畜みたいな事言ってさ、あいつ、ビビりだよね。ケツの穴の小さい男だよね」私なら言った。きっと文句言った。
ファラオの娘は、すぐに乳母を連れて来るように、ミリアムにいいます。ミリアムはヨケベドママを呼びに行きます。ファラオの娘は、ヨケベドママに言います。
「この子を連れて行って、私の代わりに乳を飲ませてください。報酬は払います」
良かったですね。赤ちゃんは救われました。本当の母親の乳を飲んで成長できるんです。ママも嬉しかった事でしょう。久しぶりに聞いた我が子の泣き声で、胸がはって痛かったでしょう。おまけにお金まで貰えます。最高です。パパも安堵。
□ ■ □ ■
赤ちゃんは本当の母親と家族の元ですくすく成長しました。ヘブライ語も教えられた事でしょう。しかし、三歳くらいになると、思い出したかのようにファラオの娘が来ます。
「ファラオの娘はその子を自分の息子とし、モーセと呼んでこう言った。『私はこの子を水の中から引き出したからです』」
モーセは連れて行かれました。両親やミリアム、アロン辛かったでしょうね。仕方ありません。生かされているだけ幸せなんです。
モーセは名付け親のファラオの娘の元で、そうです、エジプトでぬくぬくと成長します。自分がヘブライ人だという事ももちろん知っています。
ファラオの娘が付けた名前の意味、何かを暗示していると思いませんか?
「水の中から引き出す、引き上げる」もう、全てが神様の導きだとしたら、モーセはエジプトで育たなくてはいけないのです。
そして、あの有名な自然現象へと向かう為に! 伏線の回収はまだ先の先の話。モーセがイスラエル人を「出エジプト」させるためには、一波乱、ふた波乱あります。
次回、モーセ、殺人しちゃった? 逃亡しちゃった! こうご期待!
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