モーセに恋して

第19話 モーセの生い立ち

 モーセと聞くと、「あー、あの海を二つに割った人ね」とか「神様から石の板をもらったあの人ね」と思い出すことでしょう。映画の主役が出来るほど有名な人物です。ヘブライ語聖書といえば、モーセです。


 アブラハムの息子はイサクでした。イサクには双子の息子がいた事、つい先日お伝えしましたね。エサウとヤコブです。


 ヤコブの息子は覚えておられるでしょうか? 十二部族の祖です。ルベン、シメオン、、ユダ、イッサカル、ゼブルン、ベニヤミン、ダン、ナフタリ、ガド、アシェルです。そうです、そうです! ヨセフの兄弟です。


 先にエジプトに奴隷として売られていたヨセフを頼って、家族大移動しました。この時の族長はヤコブです。ヤコブは七十人家族で大移動です。

 

 ヨセフが亡くなったあとも、イスラエル人は増えていきました。気がつけば、エジプトに追いつくほどの数です。そして賢く強いのです。二十歳以上の男子だけでも六十万人に達していたとか。妻と子ども合わせたら相当な数ですね。


 ファラオは、脅威を感じます。(ヨセフ家族に親切にしてくれた王様とは別人)

 

「見ろ、イスラエルの民は我々より多くて強い。あの者たちを抜かりなく扱い、彼らが殖えないようにしよう! 戦争でも起きたら、彼らは敵につき、我々と戦い、この国から出て行ってしまうであろう!」出エジプト記一章九、十節。


 ファラオはビビって、イスラエル人に重労働を課しました。粘土モルタルやレンガを作らせたり、過酷な環境で奴隷としてムチ打って働かせました。


 イスラエル人はへこたれません。メンタルも強い。忍耐の人、ヤコブやヨセフの遺伝子受け継いでます。厳しく扱っても殖える、殖える、殖える。ワカメ。


 ファラオは、助産師のシラフとプアに、男の子が生まれたら死なせよと命令しました。一応ファラオにも良心があったのでしょう。「殺せ!」ではなく、何か医療上のミスをして命を奪えという事です。女の子は生かしておくようにとも言いました。


 シラフとプアはどうするでしょうか? ふざけんじゃないわヨ! って怒ったと思います。毎日のように新しい命が生まれる現場で働いています。イスラエル人だろうが、エジプト人だろうが、男の子だろうが、女の子だろうが関係なく、命の誕生に喜びを持ち、助産師の仕事を誇りにしています。そして彼女たちは、ヘブライ人です。ファラオより、イスラエルの神を畏れていたと思われます。


「ヘブライ人の女性はエジプト人の女性とは違います。元気があって、私たちが着く前に、もう産み終えているのです」と機転の効いた答えをします。


 命令に背けば殺されるかもしれない。けれどきっぱりと言いました。なんて勇敢な女性たちでしょう。イスラエルの神さまは、この二人の信仰を祝福しました。家族を授け、聖書に名前を残しています。ノアの妻と嫁の名前はないのに。笑


 ファラオは考えます。助産師は使えない。そうだ、いい事思いついた。


「ヘブライ人に生まれる男の子は皆ナイル川に投げ込み、女の子は皆生かしておくように!」


 ファラオはエジプト人に命じました。元気よく生まれたヘブライ人の男の子をナイル川に投げ込めば……死ぬ。ここでも「殺せ!」とは命令していません。


 そんな頃、レビ族出身のアムラムと妻ヨケベドの間に、男の子が生まれました。お兄ちゃんとお姉ちゃんは、弟誕生をとても喜んだ事でしょう。

 


 お兄ちゃんの名前は、アロンです。お姉ちゃんの名前はミリアムです。この二人

はまだまだ登場しますので、覚えておいて下さりませ。


 めちゃくちゃ可愛くて、美しいこの赤ちゃん。モーセの誕生です。ヨケベドママはとにかく、三ヶ月間モーセを隠し続けました。母親からしたら、どんなお顔でも大事な我が子です。エジプト人に見つからないように必死ですよね。


 しかし、隠しきれなくなりました。ママ、どうする? モーセの運命は?


 はい、ここからあの有名なシーンが始まります。神様が介入したとしか思えない偶然が重なっていきます。お楽しみに!

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