第11話 夏休みの思い出
半地下に下りていく階段は、サンダルを脱いで
裸足で下りるけど
そこに、砂風呂用の浴衣があって
それで入るらしい。
浜辺の方に砂風呂、そちらへは
硝子扉の引き戸。
反対側に扉があって、脱衣所がある。
「これ、着るの?でも、パンツ脱ぐの?」と、めぐ。
「多分そうじゃない」と、Naomi。
「やだなぁ、入っちゃいそう」と、れーみぃ。
「どこに?」と、めぐ。
「穴ね」と、れーみぃは(笑)
「お、おい、そんな事」と、Naomi。
「耳とか」と、れーみぃはふざける。
「おのれ、わたしをからかいおって!成敗致す!」と、Naomiは
砂を掴んで投げるふり(笑)。
「きゃー、砂掛けばばあ」と、れーみぃ。
「ばばあとはなんだ!人が気にしてる事をー。
このぉ。変態お嬢!」と、Naomiは大人っぽいのが嫌いなのか。
れーみぃは楽しそうに、脱衣所に逃げたが捕まり、背中に砂を入れられた(笑)。
「砂掛けばばあで悪かったな」と、
硝子ドアの向こうで、砂掛けのおばちゃんが
居ると困るとめぐは思った(笑)が
幸い、誰も居なかった(笑)。
「砂掛けばばあってなんだ?」リサ。
「さあ?」と、めぐ。
「機関車にも砂が必要だな、そういえば」と
リサ。
「そうなの?」と、めぐは
また解らない。
「うん。普通はあるね。レールと車輪の
間にまくんだね。滑り止めに」と、リサ。
「道路とバイクなら滑るのに?」と、めぐ。
リサは思い出し「ああ、そうか。面白いね。」
回想するリサ。
夏休みに、東北のおじいちゃんの家に
避暑に行った時。
最果ての駅は少し寒いくらいで
こんな、感じだった。
海に向かって線路は延びてて。
連絡船が来ると、レールがつながって
入れ換え機関車は貨車を後押し。
レールのそばに、細かくなった砂があったりした。
石炭の燃える匂いは香ばしくて。
夜行列車から伸びるホームの屋根には
長い廊下があって。
駅から直接行けるようになっていた。
その、海辺の端っこの2階に
連絡船の待合室。
学校の教室くらいに広いそこは
ベンチが並んでて。
高い所に吊られているテレビは
まだ珍しかったカラーテレビで
それも大型だった(幼い記憶なので
20型くらいだとリサは思う。ベンチの大きさと比べると)。
そこから、不思議なオルゴールのメロディー。
時々、ラジオで聞こえる
モスクワ放送のそれとよく似ていたのを
よく覚えている。
夏休みが終わって、都会に戻る時
なんとも言えない淋しさと一緒に
ここで見たアニメをよく覚えている。
ターバンを巻いた魔法使いが
くしゃみをすると
壺から出てきて、楽しそうな事を
するのだけど
淋しいリサには、なんだか煩く感じた。
家で見てれば、結構面白いと思うのだけど。
旅愁、なんて実感。
言葉は知らなくても。
コマーシャルも独特で
ネプチューンファイズ、と言う
お酒のコマーシャルで
舟の上で、カップルが
寄り添う、結構子供が見ると
恥ずかしいものを
流していたりしたのをよく覚えているけど
アニメを流していたところから、夜7時半くらいだったのだと思う。
「どしたの?」とめぐは
リサを見上げて。
ちょと背丈が違うのに、二人はお友達。
スポーツガールのリサ、インドアタイプのめぐ。
なーんとなくお友達で、なぜか
めぐは鉄道高校について来てしまった。
お父さんが学者だから、やっぱり
後を継いで欲しいと思うのかな、なんて思うリサ。
それだと、進学高校に行った方がいいと思うのだけど。
「うん、うん、ちょっと思い出。夏休みのね」と、リサはそのまま話す。
「いろいろあるよねー」と、めぐは
浴衣を持って、脱衣所へ向かうと
れーみぃの嬌声。
Naomiに成敗されていた。
「これ!参ったか!」と、抑え込まれて。
「お大根様、お許し下され」と、抑えられてるれーみぃに、めぐは
「変態返し!」と、れーみぃのお尻を撫でた。
「きゃーぁ、もっとしてー。そっちじゃなくて愛の恥丘温暖化」と、れーみぃ。
めぐは、笑った「効き目ないか」
Naomiも「変態お嬢様ー」(笑)。
リサは「人が見てるとき、するなよ」(笑)。
女子高ノリは怖い(笑)。
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