第10話 財務の不思議
「それなら、あの工場解散しなくても
良かったね」と、めぐ。
めぐの発想ーーーー
郵便貯金(借り)>国鉄(赤字)
日本政府が借り>郵便貯金のお金(の、お札)
税、国債>日本政府 (赤字)
equal
債権>会社(赤字、解散)
債権>政府(赤字、存続)
-----(理論的には同じ。借りつづけるのが企業、政府)
「まあ、そうよね。国とか、行政が黒字って
変だもの。国鉄も郵便もそう」と、れーみぃ。
「じゃ、なんで工場は解散したの?」と、めぐ
「売れないからでしょ、油が安くなったから。薬が」と、リサ。
「そっか」と、めぐ。
為替とか、そんな世の中の大きな事で
幸せって無くなる事もあるな、と
めぐは感じる。
「子供なんだな、あたし」めぐは呟く。
「みんなそうだよ。でも、時代が変わっただけだよ」と、リサ。
「無理しなくていいんだよね。」と、Naomi。
「うん」と、めぐは
「ほんじゃ、お風呂いこっか。」と、荷物を解いて、クローゼットに入れた。
「あんまり服持って来なかったね」と、リサ。
「うん」と、めぐ。
元々、お父さんが学者なせいか
あんまり、派手な格好は幼い頃からしなかった。
なーんとなく、お父さんが静かだと
一緒に大人しくしてたような感じだった。
お父さんが、地味な格好をするので
お出かけの時も、似た服のほうが合うかな、なんて
そういう感じに育ったから。
学者っぽく、探究心があるのも
めぐ。
お部屋にあった浴衣を着て、お風呂に向かう。
KKR、なんて文字が模様になっていて
リサは懐かしく思う。
国鉄の寝台車にあるのも[工]の形(レールらしい)のオリジナル浴衣だった。
生地もしっかりしていて、長く使えそうな感じの。
肌触りも似ている。
たぶん、作っている所も同じなんだろう。
毛布がふたつ折りで。白いカバー。
カーテンは緑で、窓みたいな穴が空いてて。
そこが、マジックテープで開閉できる[切符の検札用だとか]
[上][中][下]と、赤く書かれてて。
消毒薬の芳香がして。
と、夏休みの家族旅行を思い出していたリサ。
もちろん、おじいちゃん、おじさんは乗務なので
おじさんの乗る寝台車に随伴しての旅行だった。
それでも、思い出って楽しいものだーーー。と
リサが回想してる時、めぐが「ね、リサ」
「ゴメン聞き逃し」と、リサ。
「国鉄と郵便はどうして赤字にされたのか」
と、めぐは探究心(笑)
「ああ、またそれか。」と、リサは
廊下をサンダルであるいて。
ここのお宿は、スリッパの代わりに
サンダル。
砂風呂があるから、なのかな。
小さなエレベーターは1基。
そういうとことはきっちり倹約している。
電気代が結構掛かるからだ。
「うん。まあ、政治の都合なんだろね、それ。簡単に言うと」と、リサ。
「どういうこと?」と、めぐはまたまた
解らない(笑)
「うん、外国へこの国から行って、そこで
お金儲けしたら、その国の人の仕事が減るでしょ、そう思うのよ。」と、れーみぃは貿易商が
お父さんなので、そのあたりは詳しい。
ーーーー例
日本企業 日本円(価値を国管理)
=>$変換(価値は相場で変動)=>
例えばアメリカで売る(現地人が$で払う)
$は元々
アメリカ政府=>$
働いた価値分を政府に預け<=人々
円<=$
価値が変わってしまう(世界の信用が
アメリカ<日本なら日本円が上がる)。
なので、アメリカ人はその時は損、と思うし
日本政府や、日本企業に出資したいと
思う。
ーーーーー
「それで?」Naomiも興味を持って。
持ってるオートバイは外国のが多いから。
「国鉄と郵便の株主にならせてって、そんなに
いい国だったら、みんなに分けて、って言ってるの」
と、れーみぃ。
「国民になるってこと?」と、めぐ。
「それはできないから、お金を分けてって言ってるんだけど、解ってないのね。西洋人って。
幸せってお金じゃないのよ」と、れーみぃ。
「うん」と、リサも納得。
例えば日本人が働くのは、お金の為じゃなくて
気持ちを満たす為。
機関車の、あの工場の人みたいに
好きな機関車を守る為に定年まで頑張って、
果てる。
それって、お勘定じゃない。気持ち。
国鉄職員もそう。
枕木を一本一本、見て回らなくても
給料は貰える。
見てるふりしてても。
それで事故が起こっても、責任は
作業員にない。
そういう事になるのが、例えば
成果主義とか。
そういうもので、鉄道も郵便も動かない。
むしろ、事故が起こる。
失敗を隠そうとして、運転士が
判断を誤れば大事故になる事例もある。
鉄道とか、郵便とかは
そういうものなのだ。
「まあ、世界のどの国でも
大体郵便貯金って、発展途上で国が使う為に
あったものなのね」と、れーみぃ。
「そうそう。そのお金って、政府が元々国民に借りてるって事だから。定額為替みたいなの」と、Naomi。
「定額為替?」って、めぐはまた知らない言葉。
Naomiは、おじいちゃんが郵便局なので
「千円分なら、定額為替を郵便局で買うのね。
それを、どこでも郵便局に持っていけば
千円を出してくれるの」
「ふーん。じゃ、政府にお金持っていけば
何か、働いた分の価値に見合ったものを払ってくれるの?」と、めぐ。
「昔は、金ね、ゴールドだったの」と、れーみぃ。
ついほんの少し前まで、そうだった。
「007の映画で、ゴールドフィンガーってあるでしょう。あの頃は、アメリカだって金を
持ってないとお札が作れなかったの」と、リサは映画好きなのだろうか(笑)。
「そう。それを止めたので、今はなんにもないの。お札を印刷するんじゃなくて、銀行の預金残高って数字が変わるだけなのね」と、れーみぃ。
「ふむふむ。結局ニセ札と変わんないって事?」と、めぐ。
エレベーターがやってきたので、1階へ下る。
夏休みの割には
静かだけど、まだ、中学は学校があるんだろう。
「偽っていうか、まあ、元々物の価値って
ないわけでしょ?物々交換でもさ。納得すればいい、って事で」と、れーみぃ。
めぐは、幼い頃みたアニメを思い出す。
山羊のチーズをパンと交換しようとして、パンを値上げするパン屋さんは結局
チーズを食べられない。
正直なパン屋さんが食べられる。
値上げのパン屋さんは、飼っている子山羊が
ミルクを出さないので、お肉にしてしまおうと
する。
そんなお話だった。
お金って空しいと、幼いめぐは思ったようだった。
お金って、でも、そんな、どうでもいいものなんだ。
「結局、ただの道具って事ね、レールとか釘みたいな」と、めぐ。
「そうそう。いい加減なものだから、真面目に
考えても仕方ないの。入ってきたら使って、無くなったら働けば」と、Naomi。
「郵便貯金はできないわね」と、リサ。
「いいの。そんなの。わたしは決めたの。お金は要らない。」と、Naomi。
勤勉もいいけど、それはお金の為じゃないの。
今は、鉄道再生の為に働くけど
それは、あの汽車を動かしたいし
大切にしてた人の気持ちのため。
1階について、半地下に下がったお風呂
みたいに見えるのは、斜面に建ってるせい。
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