第12話 明日の計画

みんなで砂浴用の浴衣に着替えて

裸足で、ぴたぴたあるいて


砂湯へ。

硝子扉をがらがら、と

開いて


そこにあるサンダルを履いていくと、少し砂があって

「ヘンな感じ」と、めぐ。

「挟まって?」と、れーみぃ。


「足にね」と、リサ。


「知っておるわい。お大根様」と、れーみぃ。


「それは代官だって」とNaomi。


「存じておる」と、れーみぃは

また、遊んでいる。



「いらっしゃい。」と、砂かけは

本当に、おばさんだったので。


めぐは、笑いを堪えるのに必死。


俯いて、真っ赤。


涙もにじんでいる。



「どしたの、めぐ?あ、ああ、アハハは。」と、れーみぃは

笑う。


「ダメだって」といいたいめぐは言えずに

手を振る。



「なんだ、おまえら。あ、ああ、あれか」と

リサも気づいたが、黙す。


Naomiは「あ、なんだ。別にいいじゃん、笑っても。」と

平気。



おばちゃんは「楽しそうでよかね、学生さん。」と

にこにこ。


何にも判る訳もない。



「夏休み?」とおばちゃんは

砂場にへこみを掘って、そこに

4人を寝かせて、砂を掛けた。

頭のところはタオルを被っておくのだけど


れーみぃは鼻のところでタオルを縛って「ふっふっふ。」


「おんもしろいお嬢さんだね、ははは。」と

おばちゃんは笑う。


「ちょっとヘンなの、この子」と、Naomi。


「ほっといてくださいね。」と、リサ。

めぐは、まだ笑っている。


「何が可笑しいのかねぇ、若いっていいねぇ。」と、

おばちゃんはにこにこ。



「あたしたち、鉄道学校なんです」と、リサ。



「あ、あーぁ、それだと、あの活性白土の?」と。


「ご存知なんですか?」Naomiは驚く。


「んーだ。村は狭いはんで。みんな知ってます。役場で

言ってたし」と、おばちゃん。



「役場で」と、リサ。



平和な村なんだなぁ(笑)。



「はいぃ。あのかわいい汽車っこねぇ。朝夕に荷物積んで。

がたごと走っとったなーぁ。汽笛もかわいい音で。


「船で荷物をどこかに運んでたんですね。」と、リサ。


「はぁい。この辺りは石油が出てたから、それを掘ってたのね。

後、戦争の頃はね、松の根っこを掘って、蒸すと

油になるの。それも、なんかやってたみたい。」


砂かけのおばちゃんは、結構詳しい。



「エンジンの燃料になったのね」と、めぐは

ようやく笑いが収まって。でも、まだ顔が赤い。



「代用ガソリンか」リサは

おじいちゃんに聞いた事があった。


「木炭ガスとか?」と、Naomi。


「それは、はぁ、バスね。後ろでマキを燃すのね。

それで炭を蒸すと、走るのね。」と、おばちゃん。



「燃料が入らかなかった頃」と、れーみぃが

ヘンなコトバ。



「はいらかなかった、ってなによ」と、めぐが笑った。


みんなも笑う。


おばちゃんもにこにこ「わがい人はいいのー。楽しげで。」



「石油が出るんですか?」と、めぐ。


「はい。今でも掘れば出るよ。でも、掘ってないね。」と、おばちゃん。



めぐは、なーんとなく思った。


何かに使えないかなぁ、と.....。



砂湯は、15分しか入れないので


結構長いけど、暑くなって


浴衣をそこで脱ごうとする、れーみぃ。


「ダメダメ。外外!」と、めぐ。


内湯までの間は、まる見えなの。(笑)



あ、そっか、とれーみぃは


「暑いのに」と、渋々着なおして戻る。


砂だらけの浴衣は、なんか可哀相だけど


砂を払うと、汗で張り付いて結構色っぽい(笑)



「わーぉ」と、れーみぃは楽しそう。「セミヌード」と

にこにこしながら。


リサは「また始めたか」。


Naomiはちょっと恥ずかしげに、前を隠して

そそくさと内湯へ戻った。


「一番かっこいいのにね」と、めぐ。



「そんなもんさ」と、リサ。


ゆっくり歩いて、内湯に戻る。


ここの内湯は、緑色のお湯。


「温泉で珍しいね、こういうの」と、めぐ。


「うん、なんだろこの色。銅イオンかな」と、リサ。



れーみぃは、真面目に戻って「人を乗せるとしたら、どうなるんだろう、許可」と。



「許可?」と、リサ。なんか聞いた事ある。



「鉄道事業免許」と、れーみぃ。


「それは授業でやったね」と、めぐ。



みんなで砂を落として、浴衣を脱いで


でも、結構くっついてる。


足の方とか。


それを流すのに、シャワーがついてるとこが

砂湯の面白いところ。



「よーく流せよ」と、Naomi。


「どこを?」れーみぃ。


「もう乗るかい」Naomi。


「つまんないなぁ」と、れーみぃ(笑)。



「おっぱいでしょ」とめぐ。



「おいおい」と、リサ。


「ここ、男湯とつながってるんだよ、上」とNaomi。


仕切りがあるだけで。


めぐは、気がついて恥ずかしくなった(笑)。



ゆっくり砂を流しながら「機関車には砂も要るね」と、リサ。



「それはあるんじゃない?まだ」と、Naomi。



「小さな機関車だし、平地だから。要らないかもしれないけど。

あ、そっか、免許の話。どうなるの?」と、めぐ。


れーみぃは「うん。授業の通りだと、人を乗せてお金取るんだと

旅客運送業免許が要るのね。会社にするんだと。」



鉄道事業免許は、それと別で

レールもあると、第一種免許になるね。授業の通り。




「普通の、保存鉄道ってどうしてるの?」と、

めぐ。


「大体、鉄道会社があったところはそのままだけど

全部囲って、私有地だったら

入場券を買ってもらって、見世物にするとかが多いね。

それでも人を乗せると、規制があるの。危ないから。」


「ふーん。面倒だなぁ。学校はどこまでやらせるんだろう?」と

リサ。



「まあ、とりあえずは走るところまで考えればいいんじゃない?」と

Naomi。


「それでも大変だと思うよ。だって、枕木全部点検して、草刈りして。

レールの水平見たり。そうそう。その前に工場と宿舎だね。

電気が来てるか、ガスが来てるか、水道が使えるか。

工具があるか。油類があるか。なにより機関車が動くか。」と

リサ。


「いろいろあるなー。」と、めぐ。


「とりあえずは行ってみないと判らないね。おばあちゃんが

前の工場の持ち主さんに聞いてくれてるみたいだし。

明日は、寝床作りだね。布団があるかもわからないし。」と

Naomi。


「トイレだよね。一番困るのは。水洗だと思うけど、それだと

水がないと使えない。まあ、栓開けちゃえばいいんだけど。

でも、栓が判らないとね。それに工場だと、どうなってるか判らないもの。水とかは。井戸かもしれないし。その井戸が飲めるのかも判らない。」



「うーん、まあ、考えても仕方ないから、お風呂入ってご飯、ご飯」と

れーみぃは切り替えが早い。





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