第6話 親切なひと
タクシーのおじさんの言うように
路地を曲がって少しのところに
広い農家のお庭。
おばあちゃんは、クルマを止めて
ギアを1速に入れたまま、エンジンを止めた。
「はい、降りてねー、お風呂はそっち。洗濯機もあるよ、小屋の中」
離れの農機具小屋に、お風呂があるみたいだ。
「ありがとうございます」と、れーみぃはお礼を。
めぐも、ご挨拶。
「うんうん、はよ、はいんな。風邪ひくよー、涼しいからね」 と、おばあちゃんは
にこにこ。
リサとNaomiは、クルマを降りて
「本当に済みません、見ず知らずのかたに」とお辞儀をすると
おばあちゃんは「あんだらも入ってくれば。広いんだよーうち。温泉だし。露天風呂、作ったんだ。じーちゃんが」おばあちゃんご自慢の
お風呂らしい。
「温泉かぁ。じゃ、あたしたちもお呼ばれ」Naomiも楽しい。
うんうん、とおばあちゃん満面笑顔「出てきたらね。洗濯物は乾燥機があるから。小屋に」と、おばあちゃん。
「乾燥機もあるんですか」と、リサ。
「まあ、雨降ると困るしね。野良着」と。
自然は待ってくれないので、と言う事だろうと
リサは理解する。
鉄道だって、悪天候の時でも走るから。
貨物列車だと、平気で6時間くらいは遅れる。
そんな時、体調が乱れ易い女の子はどうしても不利なので
現在でも、貨物機関車は男ばかりだ。
電車なら、駅で交代とか出来るが
通常2時間勤務とは言え、山中の信号所で
夜明かし、なんて事もある。
同様に、貨物の車掌も女の子は居ない。
させてもいいが、本人が可哀相だ。
そんな事をリサは考えてると
Naomiは「いこう?」と。
お風呂好きらしい。
農機具小屋、と言うか
その裏手に温泉小屋があるようで
れーみぃとめぐは、ひと足お先。
「すごいねー」
「驚きだね」
桧の浴槽は、3m四方くらいだろうか。
一枚ものだ。
床は、石英だろうか、花崗岩だろうか。
切り出したものを滑らかに加工してある。
お湯は、いつも流れたままなのか
オーバーフロー。
竹筒から流れてきて、あふれて流れていく。
黒い温泉。
それだけど、桧は染まっていないから
作られたばかりのようだ。
「ごーかだね」
「ホテルかな、ここ」
そんな感想を述べてると
リサとNaomiがやって来た。
「おばあちゃんが、お風呂を」と、リサ。
「すごいね、ここ。旅館かな」と、Naomi。
「とりあえず入ろう、あったまろ」れーみぃは
お嬢さんらしく。ほいほいと
脱いだ。
ぽよぽよなので、丸っこくて可愛らしい。
「かわいい」と、めぐは
れーみぃに抱き着こうとすると
「つべたいよ、早くめぐも」と
めぐのパーカーを脱がして。
「ごめんごめん 」 と、めぐは
ちょっと恥ずかしいけど
れーみぃが平気なので、シャツとスカートを
脱いで。
「パンツもね。洗濯しとく」リサはお姉さんタイプ。
「そういえば、宿舎だとお洗濯も炊事も
自分達だね」Naomiは
少しそっちは苦手らしい。
「そっちはまっかしといてー」れーみぃは
半裸のめぐとじゃれながら。
ブラを剥ぎ取っている(笑)
めぐは困って逃げながら「あ、あたしも手伝う。お料理は得意だし」
めぐはおばあちゃんっ子なので、女の子っぽい事は得意だ。
なんで鉄道学校に来たのかと言うと
リサが行く、と言ったので。
駅の仕事にも少し、興味があった。
「ま、分けてやろうね」と、リサは公平。
機械整備や、機関車乗りよりは
事務系のれーみぃ、技術系のめぐは
時間の都合がつくだろうけど。
そこはそれ、補いあって。
めぐのパンツを剥ぎ取ったれーみぃは
頭に被るふりをして
はしゃいでる
匂い嗅ぐふり(笑)「んー、乙女の香り」
「やめてよほんと」めぐは顔が赤い。
Naomiは「いーかげんにせい!」と、取り上げて。
背が高いと便利。
「ほんとにもう、変態お嬢様(笑)」と、リサ
「割とあるわね、古典文学でもお嬢様のそういう趣味」と、Naomi(笑)。
「だって、めぐ、かわいーもーん」と、れーみぃはにこにこ。
めぐも、怒ってもいないけど「こんど
変態返ししちゃうから」と、笑った
なんだそれ、とリサとNaomiは
笑って、自分達も服を脱いだ。
これは洗わないけど(笑)
脱衣カゴにリサが自分の下着を、シャツにかくして入れる。
「匂い嗅ぐなよ」Naomiに(笑)
「するかい(笑)」Naomiも笑った。
「汗臭いだけだよ、私のは」と、リサ(笑)。
「どれどれ」と、れーみぃは
脱衣カゴに手を伸ばす真似(笑)
「これ!変態お嬢様!許しませんよ」と、リサは笑う。
「ごめんなさ〜い、執事さん」と、れーみぃはおどける。
「めーぇ」と、めぐもふざけた。
「それは羊さん。江戸っ子かいな」と、Naomi。
「おう、寿司食いねぇ」と、リサも楽しい。
リサは、運動が好きだから
ほっそりと浅黒い。
水着の跡が、ちょっと色っぽい。
素っ気ないだけに、かえって
かわいらしい色気がある。
「さ、入ろ」Naomiもスポーツ好きだけど
均整のある、彫塑の美みたいで
色っぽいと言うより、鑑賞するような
美しさ。
特に気を使ってない、と言うものの。
「整備士にはもったいないな、その体」と
リサ。
「あんまり見ないでよ」と、Naomiは赤くなってそっぽ向く。
「鉄道のアイドルにすれば、うちの」とれーみぃは企画好き。
「裸は嫌よ」と、Naomi。
「誰も裸なんて(笑)」と、れーみぃ。
「そこまで変態じゃない」とも。
「十分変態だと思うが」と、リサは笑いながら
浴槽へ。
お湯を流して。石鹸を付けて体を洗った。
「髪も洗いたいけど」
「KKRで洗えば」と、Naomi。
めぐは、ひと足先に体を洗って。髪も短いから
さっと流した。
夏向きショートボブ。
「KKRってどーいう意味??」と、れーみぃは
お風呂に戻って。体を洗うけど
ぽよぽよなので、よく泡立つ(笑)石鹸。
「KokutetuKyosaiRezort」と、リサ。
「なーんだ、秘密結社かと」と、れーみぃ。
「ターボじゃない」と、Naomi。
「それはKKK」と、リサ
「けっけっけ」と、れーみぃ。
「
今は機関車もIHIとかだけどね」とNaomi。
「いっひっひ」れーみぃは Ich Ich ichとドイツ語漫才(笑)
「漫才かい、君ら。
隙間もよく洗えよ」と、Naomi(笑)
「わーいやらしー。隙間だって」と、れーみぃはあらぬ想像。
「い、いや、私はお腹とか脇とか」
Naomiも慌てる。
「どこの隙間?」と、めぐは、
半疑問(笑)
「そんな事言うな!」と、リサは
お湯をめぐにかけた。(笑)
「後は、する事ってなんだろね」と、リサ。
れーみぃは真面目に戻って「線路は専用線だし、土地はたぶん、工場の。踏切とかないから
問題はなさそうね」と。
「いきなり真面目になるなー」と、Naomi。
「線路の点検ね。機関車は別にして」と、リサ。
おじいちゃんに聞いた事があり
列車が走ってない時に、枕木を一本ずつ
確かめて歩くそうだ。
レールをと止めてある釘を叩いて。
「大変そうだね」と、めぐ。
「あのハンマーだけでも重いからね。まあ、保線用のトロッコはあると思うけど」と、Naomi。
「それにしても、現場じゃ振る訳だし」と、学校の実習を思い出した。
今は殆ど機械だし、ネジでコンクリートの枕木に止めるけど
一応、歴史なので、教える。
そのハンマーは、つるはしのような
もので
とっても重い。
5kgくらいはありそうな感じ。
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